【C87:3日目東T53a】カップリング表記のデータ本を出します

「あまあまくろにくる」は業界初のカップリング表記研究サークルです。

というわけで、冬コミにカップリング表記の分析本を出します。

開催日時:3日目 2014/12/30(火) 10:00~16:00
開催場所:東京ビッグサイト
スペース:東2ホール T53a
サークル:あまあまくろにくる
Webカタログ:https://webcatalog.circle.ms/Circle/11607423

【新刊】カップリング表記データブック(作品ガイド)


表紙イラスト:私設図書館シャッツキステ ミーナさん(春組メイド)

いつも通り、コミケカタログに掲載されているサークルカットから、
「カップリング表記」を全て「目視で」抜き出して集計した本です。

既刊では、「カップリング表記発展の歴史」に注目して、時系列順に
カップリング表記を見ていきましたが、今回は「作品別」の表記方法の違いや
各作品でどんなカップリング表記が流行っていたかなどを、少しライトな読み物
としてお届けできればと思います。

対象期間

1980年代・90年代のヒストリカルなデータと、直近2年の最新データを使用しています。

◆歴史的データ
C21(1982年夏コミ)~C57(1999年冬コミ)
◆最新データ
C84(2013年夏コミ)~C87(2014年冬コミ)

最新のC87(今回の冬コミ)データもギリギリ掲載することが出来ました。
以上合計で、20年(41開催)約60万サークルのデータを使用しています。

掲載作品一覧

今回は作品別の分析本ということで、表記数の多いメジャー作品を中心に
あとは個人の趣味で50作品をチョイスしています。

ヒストリカルな作品(1982-1999年データ)×29

キャプテン翼
ドラゴンボール
聖闘士星矢
SLAM DUNK
幽遊白書
るろうに剣心
封神演義

忍たま乱太郎(落第忍者乱太郎)
美少女戦士セーラームーン
爆走兄弟レッツ&ゴー!!

鎧伝サムライトルーパー
天空戦記シュラト
新世紀GPXサイバーフォーミュラ
新機動戦記ガンダムW
新世紀エヴァンゲリオン
勇者指令ダグオン

銀河英雄伝説
炎の蜃気楼

ファイアーエムブレム暗黒竜・紋章
ザ・キング・オブ・ファイターズ
アンジェリークシリーズ
ファイアーエムブレム聖戦の系譜
ファイナルファンタジー7

【簡易版データ(6作品)】
京極堂シリーズ
SAMURAI SPIRITS
女神異聞録ペルソナ
幻想水滸伝2
シュート!
魔神英雄伝ワタル

最新作品(2013-2014年データ)×10

2013-2014年カップリング表記数トップテン作品です。

黒子のバスケ
ハイキュー!!
テニスの王子様
進撃の巨人
弱虫ペダル
Axis powers ヘタリア
TIGER&BUNNY
Free!
戦国BASARA
うたの☆プリンスさまっ♪

ナマモノ×11

※現物でご確認ください※

5グループ+簡易版データ(6グループ/作品)

【サンプル】作品別解説『新機動戦記ガンダムW』


※実物はモノクロです

【掲載情報】
・カップリング表記ランキング ←人気の表記は?
・カップリング表記数グラフ  ←いつ人気だった?
・攻め受けマトリクス     ←攻めのトップは?受けチャンピオンは?
・カップリングランキング   ←人気のカップリングは?

【サンプル】作品別解説『ハイキュー!!』

最新作品は期間を直近4開催に絞っているため、開催別の傾向など
詳細情報が追加されています。

既刊紹介

当日、少部数ですが持っていく予定です。

カップリング表記データブック(1982-1999)


カップリング表記の基本と、発展の歴史をまとめた本です。

ティアズマガジンに「同人オタクにとっての教養書である」
読者の方の感想が掲載されました。

統計これくしょん

夏コミで艦これデータ統計合同誌に寄稿しました。

サークルカットに描かれている艦娘を目で見て集計したりしました。
専門分野のカップリング表記についても書いてます。

よろしくお願いしますm(_ _)m

細かめの解説も書いてますが、どんなカップリング表記があったのかなーと
斜め読みするだけでも楽しいかと思います。

3日目東T53a 「あまあまくろにくる」
Webカタログ:https://webcatalog.circle.ms/Circle/11607423

よろしくお願いします。

【2014/12/30追記】書店委託開始しました

COMIC ZINさんにて委託販売が開始されました。
遠方の方や気になるけどコミケでは買えなかった皆様
よろしければこちらをご利用くださいm(_ _)m

◆COMIC ZINさん◆
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=22778

第5回『ニコニコ学会β データ研究会』で発表してきました

もう2週間も前の話ですが、ニコニコ学会βデータ研究会で
艦これ統計の発表をしてきました。

↓イベント告知
第5回『ニコニコ学会β データ研究会』 | Peatix

夏コミで『統計これくしょん』という艦隊これくしょん統計合同誌に寄稿したので
どんな記事書いたの?書いた後の進展は?といった所を中心に発表してみました。
予定されてたニコ生が当日に急遽中止になったので、お越しになれなかった方向けに
自分の発表資料をアップしておきます。

↓統計これくしょんはこんな本です
COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 艦これデータ分析合同誌「統計これくしょん」

自己紹介





反応




補足

ここでなぜ縛りプレイの話をしたかというと、
艦これブームは「プレイヤーの自由度の高さ(想像の余地が大きい)」
ポイントだと考えているからです。
この後のカップリングの話とも絡めて
艦これは「オレ鎮守府はこうだ!」と個性が主張しやすく
加えてTwitterなどで好みの近い提督と繋がりやすい環境が
艦これブームを支えてるのではという話をする予定でした。
…のですが、当日は時間がマキマキだったので省略しました。

コミケカタログ上のイラスト人気キャラ






男性向創作ジャンルでは「胸部装甲」も重要なファクター


いい風吹いてます。


ほっぽちゃん大人気

コミケカタログ上のカップリング人気


カップリング表記率はかなり低い。東方に近い傾向

当日頂いた質問

艦これのカップリング表記率が東方Projectに近いというお話でしたが
そもそも作者自身が同じ(ジャンルを流れてきている)という可能性は
ないのでしょうか?

大いにあると思います。
東方ジャンルからの流出については、久樹輝幸さんの同人誌
『東方コミュニティ白書 2014』が詳しいのでこちらを。
C86 久幸繙文新刊『東方コミュニティ白書 2014』特設ページ


補足

当日はドワンゴ本社で行われたので、KADOKAWA・DWANGOさん向けに
「公式推しの影響力が大きいので、商品展開との連携が図りやすいのでは」
という趣旨の話をもっと直接的な表現でしました。


質問集

遅くなりましたが、当日頂いた質問にご回答します。

作者の性別を調べたら面白いかも

それは楽しそうですね。
あくまでイメージとして艦これ・東方の男女比は近くて
ラブライブ!はそれより女性が少し多い気がしますが
データとして見てみたいところです。
作品別ではありませんが、ニコ動・pixiv・コミケの男女比については
ありらいおんさんの同人誌にデータが掲載されています。

コミケでは来年40周年記念本が発行されるはずなので
そこにジャンル別の男女比が掲載されることを期待しています。

カップリングの定義と目的をお願いします

私は「キャラクター(人物)間に関係性を与えること」
定義しています。
「目的」の主体がなにを指しているのか分かりませんが、
その関係性を愛でて、精神的な満足度を得ることが目的かと思います。
「カップリング表記を調べる目的」ということであれば、
特にそのデータを商業利用しようとかいう気はなく、楽しいからです。
最近ではそれに加えて、「年々解読が困難になるので今調べて書き残しておかないと」
という危機感もあります。

男女向けでCP表記率にここまで差があるのかとおどろきました。
地雷(これだけは絶対ダメ)の有無の差でしょうか。

性別という軸で見るのが正しいかどうかはありますが
大まかに「男性はキャラ重視」「女性はキャラ間の関係性重視」という
傾向があると考えています。
そのため、男性の書くサークルカットの文字はキャラ単体の名前が多く
一方で女性はカップリング表記を書くケースが多いという理解です。

艦これのカップリングタグの場合、「あぶきた」などのひらがな化する
表記がありますが、画数や漢字の難読さなど、ひらがな化の条件が知りたいです。

この観点は面白いと思います。
Free!でも「真遙」より「まこはる」と書く方が多かったりしますので
今後意識して調査してみます。

以上がレポートになります。
当日お越しいただいたみなさま、ご清聴・それにいい反応をありがとうございました!

関連リンク



【C86】評論系の本をざっくりレビュー

夏コミで買ったり頂いたりした本(評論)を一部ご紹介します。
3日目はほとんど自スペースにいたので数は少なめです。
評論系は(良い意味で)アクセル踏み抜いた本が多くて楽しいですね。

R Maniax Advance/後藤和智事務所OffLine


無料統計分析ソフトの大御所「R」の解説書です。
サブタイトルに「さらに使いこなす本」と書かれている通り、こちらは応用編です。
基本を読まずに読んでみましたが、最初に「R」のセットアップの仕方が
掲載されていたり、全般に説明が丁寧なので助かりました。
カップリング表記研究でも、よりグラフィカルな見せ方を導入したいと
思っていたので、この本を参考に試してみたいと思います。

それと個人的には、テキストマイニングソフトの「KH Coder」の解説が
載ってたのが嬉しいですね。

◆作者の後藤和智さん◆

コミケ、pixiv、ニコニコ動画/paradoxical Library


どこまでが主題なのか分からなかったので、正式なタイトルは写真でご確認下さい。
この夏コミで「最も勉強になった本」です。

前半はコミケ・pixiv・ニコ動のそれぞれで活躍する「クリエイター」に注目して
その性別や年齢作品発表数などのデータが掲載、解説されています。
コミケは各世代満遍なく、ニコ動やpixivは若い世代が中心であることが
データにしっかりと表れていました。

後半は、軸を「作品」に切り替えて各コミュニティごとの比較が。
薄々思ってはいましたが、タイバニは黒バスや進撃と比較して
一つ上の世代の人気が高かったです。

自分はコミケしか調査していないので、この本でpixivやニコ動などを横断した
データが見れて色々と新しい発見がありました。
今後、何度も見返す本になると思います。

◆作者のありらいおんさんブログ◆
ジャンルコード別サークル数一覧(C80~C86)と夏コミ告知

同人誌即売会見聞録2014~艦これオンリー特集~/STRIKE HOLE


イベントレポだけの本と思いきや、艦これオンリー業界の構成が
地域別に示されていたり、詳細なイベント情報が掲載されていたりと
客観的なデータも盛りだくさんの素晴らしい内容でした。
そもそもこんなにイベンターって多いんですね。

もちろんメインのイベントレポも充実。
というか、艦これの聖地「呉」(広島)での「砲雷撃戦!よーい!」はもちろん
北海道の「夕張メイン軽巡オンリー」にまで参加してるとか…。
開催に至る背景、参加者の傾向なども踏まえた素晴らしいレポでした。

◆サークル「STRIKE HOLE」さんのブログ◆
STRIKE HOLE : 【常時TOP】STRIKE HOLEサークル参加情報

電源不要同人クロニクル/thenextgamers


最も研究方法が自分と近いex_hmmtさんの本。
コミケカタログの電源不要ジャンル(TRPG・ボードゲームなど)を調査されています。

クトゥルフTRPGの時代キてますね!

最近ちょこちょこボドゲ界隈でも話を聞いてたのですが
本当に時代が来てるとは。

それと珍しい調査として、落選サークルについての傾向分析があるのが
面白かったです。

◆作者のex_hmmtさん◆

東方コミュニティ白書/久幸繙文


同人とは思えない商業誌レベルの本でした。
これで1,300円は安いです。

東方の世界にはほとんど触れてこなかった人生なので
東方Projectの基礎知識からコミュニティの変化、
キャラクター人気投票の分析などなど、助かる情報ばかりでした。

今までは東方のカップリングを見ててもピンと来ませんでしたが
この本を片手に改めて見直してみたいと思います。

それと、イベントの配置図をキャラ別で色分けしてたのが素晴らしいです。
カップリング表記でもメインカップリングで色分けすると
楽しそうな気がします。(逆カプが離れて配置されてる様子が分かる?)

◆この本の特設ページ◆
C86 久幸繙文新刊『東方コミュニティ白書 2014』特設ページ

第3期藤本由香里ゼミナール卒業研究集2014/藤の素


大学の卒業研究をまとめたという異色の本。
まだ全部は読みきれていませんが、「コミック百合姫」
「アニメ次回予告」「日米刑事ドラマ比較」などなど
興味深い研究が盛り沢山でした。
全体的に客観データを重視するゼミらしく
知らない世界の話でも理解しやすかったです。

学生の研究だと、基本的に卒論を書いたら終了だと思いますが、
ここから発展する研究にも期待したいところです。

◆藤本由香里さん◆


まとめ

ざっくりな紹介でしたが、自分の研究と繋がる部分も多く
どれもインタレスティングでエキサイティングな素晴らしい本でした。
評論系に共通するのは「愛」ですね。
どの本からも対象への深い愛がビシバシと伝わってきて、
自分のモチベーションがぐんぐん上がっていくのを感じました。

いい刺激をもらったので、頑張ります。

【C86】夏コミにサークル参加してきました

夏が終わりましたね。
先日の8月17日(日)、コミケにサークル参加してきました。
とてもとても暑い中、スペースに足を運んで頂いた皆様
本当にありがとうございました。

サークル参加という都合上、あまり多くの言葉は交わせませんでしたが
皆様の応援が研究・同人活動の支えになっています。

今回、評論としては初参加、自分主催ではちょうど10年ぶりの
サークル参加となりましたが、かなり多くの方が本を手に取ってくれました。
中には「この本のために3日目参加しました!」と仰ってくれる方もいて
心にググッときました。

この本の性質上、読者層は女性がメインと思っていましたので
男性向けの多いコミケ3日目参加なのは大きな逆風でした。
しかし、そんな中でもかなり多くの女性の方に来て頂いて
嬉しい思いがあると同時に、「カップリング表記」や「カップリング」の注目度が
高いことも感じました。

また、女性はスマフォ・宝の地図を片手にピンポイントでサークルに
いらっしゃった方が多かったのも印象に残りました。
なので、今回は統計関連の島に配置されていましたが、冬コミへの申込の際に
評論の中でも女性向けサークル(腐女子文化研究など)付近への配置を希望してみました。
受かるかどうかも分かりませんが、まずはトライしてみます。

COMIC ZINさんで委託販売が始まりました

夏コミで頒布した『カップリング表記データブック(1982-1999)』ですが
COMIC ZINさんで通販・店舗販売が始まりました。

◆通販
COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 カップリング表記データブック(1982-1999)

◆店舗

ご質問への回答

サークル参加当日、ご質問を受けた件について改めて回答します。
また、先日『私設図書館シャッツキステ』さんで開催された「カップリング表記夜話」
頂いたご質問も合わせてご回答いたします。

全部目視で調べたって本当ですか?

本当です。

調べるのに何時間くらいかかったんですか?

80年代~90年代の基礎調査で1,500時間くらいです。
ブログを書いたり、論文・同人誌の作成時間は含んでいません。

OCRは使わないんですか?

OCRの会社の方から
「イラストと文字の混在しているものから文字を抜き出すのは現状困難」
と、コメントを頂いています。
実際にやってもみましたが、全然ダメでした。
特に手書き文字は、文字だけのサークルカットでも精度がよくないです。

人を雇って調べたりしないんですか?

それも検討しましたが、幾つか問題があります。

・「サークルカットからカップリング表記を抜き出す」
 →作業者全員に作品・カップリング知識が必要
・「サークルカットから全文字を抜き出す」(その後タルトが表記を抜き出す)
 →単純作業にはなりますが、二段階作業になり、全体の作業量は増加

それと単純に1,500時間の作業を時給1,000円でお願いしたら150万円かかります。
企業や大学など法人ならともかく、個人には厳しい金額です。
もちろん、自分で見て調べるのが楽しい・新しい発見があるというのもありますね。

サークルカットではなくコミケの申込データから調査するのは?

「カップリング表記」ではなく「カップリング」を調べるのであれば
ベストの方法だと思います。
ただ、コミケの申込時には、普段使い慣れているカップリング表記ではなく
「攻キャラ名×受キャラ名」で書くことが推奨されています。
誰と誰のカップリングであるかはとても分かりやすいのですが
「その時代に使われているカップリング表記」という意味とはズレてきてしまいます。

また、コミケの申込データも準備会側に1980年代から残っているとは
考えにくいので、データの一貫性がなくなってしまう問題もあります。
基本的に準備会は資料は捨てない方針とは聞いていますが
残っていたとしても、おそらく整理はされていないでしょう。

冬コミは2000年代の本ですか?

ごめんなさい、確実に出ません。
2000年代を全て調べるには概算で2,000時間必要なことが分かっています。

現状環境ではこれだけの時間を割けないので、冬コミは無理にせよ
調べるための方策は考えています。

冬コミも参加しますか?

ご期待ありがとうございます。申し込みました。
今回は「カップリング表記の歴史をデータで示す」ことに重点を置いたため
個々の作品まで踏み込めませんでした。

次回は作品を軸に、キャラクターまで踏み込んだ本を作りたいと考えています。
有名な作品はもちろん、ランキングに出てこないような作品も幾つか取り上げたいと
思っています。リクエストも募集中ですのでコメント欄にでも。

「A^2」ってなんですか?

実際のカップリング表記としては、Aの二乗の形で書いてあります。
上付き文字では集計が難しいので、「^」(乗数を表す記号)を使って
データ化しています。

正直、本にする時は上付き文字にすればよかったと反省です…。
光GENJIの「A坂Aきらさん」と「S藤Aヒロさん」のカップリング表記です。

SCCなどコミケ以外のイベントも調査しますか?

時間の関係でコミケの調査を優先していますが
どこかで作品を絞って調査したいとは思っています。
なにかイベント毎に傾向の違いがあれば面白いですね。

試し読みについて

先程の『私設図書館シャッツキステ』さんに寄贈させて頂きました。
(本の表紙イラストもシャッツキステのメイド「ミーナさん」が描いてくれています)
試しに読んでみたいという方はこちらで読めます。

また、国立国会図書館にも納本しましたので、そのうち読めるようになるはずです。


改めて、夏コミおつかれさまでした!

【C86:3日目東O42b】カップリング表記のデータ本を出します

夏コミに『カップリング表記データブック(1982-1999)』というデータ本を出します。

開催日時:3日目 2014/08/17(日) 10:00~16:00
開催場所:東京ビッグサイト
スペース:東2ホール O42b
サークル:あまあまくろにくる
Webカタログ:https://webcatalog-free.circle.ms/Circle/11304937

書店委託:COMIC ZIN カップリング表記データブック(1982-1999)

カップリング表記データブック(1982-1999)


コミケカタログに掲載されているサークルカットから、
「カップリング表記」を全て「目視で」抜き出して集計した本です。

コミケ自体は1975年から開始されていますが、
コミケカタログは1982年の夏コミ(C21)から発行されました。
なので今回は、その最初の1982年夏コミから、90年代最後の1999年冬コミまでの
18年間(37開催)のカップリング表記データを1つずつ数えて調べてみました。

今回の本にはその調査結果
 464,630 サークル
 117,770 表記
のカップリング表記データが掲載されています。

自分でこう書いててもピンとこない数字ですが
ともかく集計するだけでもExcelが重いです。

【サンプル】カップリング表記の基本


改めて「カップリング表記ってなんだろう」という所から
書き方の分類などを図を使って解説しています。

【サンプル】データの見方


データの見方と専門用語を「2013年のカップリング表記データ」を使って
解説しています。

【サンプル】1980・90年代概況


サークルカットに書かれるカップリング表記が「いつ登場して」
「どんな風に普及していったのか」をグラフとか表を使って解説しています。
年代ごとの「作品別ランキング」「人気カップリング表記ランキング」も掲載。

【サンプル】開催別のカップリング表記データ


画像はC47(1994年冬)のページです。
開催ごとの「作品別表記数ランキング」「表記別ランキング」などを掲載しています。
これが37開催分あります。(解説全部書きました…!)

順に見ていくと、「このコミケ、○×△が盛り上がってる!」とか
「うわーこのカップリング段々減ってきた…」などなど
カップリング表記の歴史が数字で体感できます。

80年代の『キャプテン翼ブーム』がどれだけ凄かったのか
90年代の『サムライトルーパー』『SLAMDUNK』『幽遊白書』『ガンダムW』では
どんなカップリング表記が人気だったのか、などなど情報満載です!

よろしくお願いしますm(_ _)m

カップリング表記って、みんながみんな使っているわけではないですが、
「受け」とか「攻め」とか「×」とか聞いたことあるよって人なら
今はかなり多いと思います。

こんなに一般化してきているカップリング表記ですが
これまで「いつから使われてたの?」「どんな表記が流行ってたの?」
定量的に示す情報は驚くほどありませんでした。
そんな環境を改善しようということで、
1980年代のデータは以前書いた論文(紹介記事)にも掲載しましたが
1990年代のデータは今回が世界初掲載となります。

データをガッツリ見なくても、「こんなカップリング表記あったんだ」とか
「この作品あったあった」みたいにさらっと見るだけでも楽しめる一冊だと思います。

よろしければ、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

表紙イラスト

最初に掲載した可愛らしい表紙イラストは、
『私設図書館カフェ シャッツキステ』の春組メイド「ミーナさん」が描いてくれました!
カップリング表記には「男子同士」も「女子同士」も「男女」もあるんだよ!を
的確にふわっと表現してくれています。

【参考】校正を手伝ってくれた友人のツイート(手前味噌的ではありますが)



【2014/08/19追記】
COMIC ZINさんで委託が始まりました。
よろしければご利用ください。
通販ページはこちら↓ 店舗でも販売されています。
COMIC ZIN カップリング表記データブック(1982-1999)

関連リンク

コミケWebカタログ:https://webcatalog-free.circle.ms/Circle/11304937

バンダイナムコの株主総会に行ってきました(2014年版)

毎年恒例のバンダイナムコホールディングス株主総会に行ってきました。

日時:2014年6月23日(月曜日)10:00~12:20位
場所:グランドプリンスホテル新高輪「飛天」
最寄:品川駅

入口からの螺旋通路展示

今年はガンダム35週年記念の展示でした。

歴代ガンダム作品のポスターが並んでます。
懐かC!


受付

受付で議決権行使書を提出すると、
・カラーシート(質疑応答の時にこれでアピールする)
・ネックストラップ&出席票(花やしきフリーパス付)

をもらいました。

昨年あったクレーンゲームの無料券がなくなってますね。
それと、昨年はナンジャが改装中だったので仕方ありませんが
花やしきではなく、ナンジャかJ-WORLDのチケットがよかったなーと個人的に。
(2012年以前はナンジャでした)
特にJ-WORLDは苦戦しているそうなので、来年はぜひ。

ネックストラップはガンダム35周年仕様です。

会場の様子

手前が体験会の会場、奥に株主総会会場がありました。
オレンジジュース/烏龍茶がもらえるので、一服してから会場へ

平均年齢はKADOKAWA総会よりかなり若め。
女性も多いですね。

それと、ライダー/戦隊の撮影会などもあるので
子供連れの方もチラホラ。

制限事項

一昨年からバンナムの株主総会では
「株主総会中の会場(飛天)での写真・動画の撮影・録音、インターネット等への書き込み」
が禁止になっています。
毎年微妙に文言が違っているのですが、意図は同じでしょう。
(「インターネット」が「インターネット等」になったり)

今年の事業報告声優さんは!

石川社長の挨拶から総会スタート。

そして毎年注目の事業報告映像に。
この映像には例年有名な声優さんを起用しているので楽しみにしています。
昨年はミネバ様からガンダムUCの売上が好調だと報告を受けました。
ミネバ様に言われたら仕方ありません!

そして今年は・・・

桑島法子さんでした!

最近ではヤマト2199の森雪役からの流れでしょうか。
素晴らしい美声でした。

【参考:近年の事業報告声優さん】
2008年:三石琴乃さん(セーラームーン・エヴァのミサトさん)
2009年:潘恵子さん(聖闘士星矢の沙織さん・ガンダムのララァ)
2010年:小山茉美さん(ガンダムのキシリア・ミンキーモモ・アラレちゃん)
2011年:遠藤綾さん(マクロスFのシェリル)
2012年:坂本真綾さん(エヴァのマリ・攻殻機動隊ARISEの草薙素子)
2013年:藤村歩さん(ガンダムUCのミネバ様・ハンターハンターのピトー)
2014年:桑島法子さん(ヤマト2199の森雪・ナデシコのミスマル・ユリカ)

質疑応答

フリーの質疑が23問。
議案に関する質疑は途中中座したため分かりませんでした。
例年より質疑が多く、そのために若干終了時間が押してました。

質疑応答のシステム

・1人1問
・質問のある方は、入口で配られた『カラーシート(色紙)』を頭上に上げてアピール
・質問が終わったら、質問者が席に戻った後に回答

先日行ってきたKADOKAWAもそうでしたが、「1人1問」で
質疑の泥沼化を抑える対応は鉄板ですね。
「限られた時間の中、たくさんの方の意見を聞きたいので」という
大義名分もありますし。
いいことだと思います。

質疑応答の内容

聞き取れなかった部分もあるので、ご参考までに。
認識違いがあったらごめんなさいm(__)m

いつも通り、個人的に気になった質疑だけピックアップ。
全て意訳です。

質疑5 キャラクターゲームをナメてるんじゃないですか?
    ジョジョ(ASB)はフルプライスソフトなのに課金前提
    ガンダム(サイドストーリーズ)はフルリメイクって言ったのにどこが?
    ガンダム(フルブースト)は家庭用出てすぐアーケードの新作が出る仕打ち

「ナメてるんじゃないですか」は意訳効果じゃなく本当に言ってました。
ネットでかなり話題になった件ですね。
個人的には、ゲームの内容云々は付随的な問題で
宣伝や売り方の問題じゃないのかなと思っています。

利益は出して欲しいですが、「誠実なビジネス」をした上でお願いしたいところ。

この回答の時に「ジョジョは当初叩かれましたが、徐々に改善していきました」
語っていて、会場がシーンとしたのが印象的ですね。

質疑7 女児向けのプリキュアとアイカツ!はターゲット層がかぶってるのでは?

ザックリいうと「未就学児:プリキュア、小学生:アイカツ!」のイメージだった
らしいですが、実際はかなり被ってきてるとのこと。
アイカツ!がここまで広い世代にヒットするのは予想外とも。
トイホビー事業の売上だけでも、プリキュアは98億・アイカツ!は130億と
アイカツ!がプリキュアを抜いたとの話で驚きました。

質疑9 妖怪ウォッチの今期売上目標は?

70億円見込み。
けど、年内に達成できそうな勢いとのこと。
そんなすごいんだ。

質疑23 妖怪ウォッチにこどもと一緒にハマってる。品薄なんとかしてほしい

妖怪ウォッチ絡みでもう一件。
オークションで5万になってたとか。

1~3月:700万枚
4~6月:2500万枚
と生産したが追いつかず。
フィリピンの工場も使って月産1500~2000万枚の
大増産体制を取るとのこと。

質疑10 SEEDやOOで獲得した女性ファンに向けて、なにかガンダムの新展開は?

たしかにOO以降音沙汰がないですね。
そろそろいい時期だと思います。

回答の時に上野さん(バンダイ社長)が『ガンダムさん』の話を出してましたが
全くそういうことではないと思います!

質疑13 戦隊・ライダー・キカイダーなどコラボしてますが
     アイドル繋がりでアイマス・ラブライブのコラボはどうですか?

「検討します」とのこと。
アイカツ!も仲間に入れてあげて!

質疑15 W杯開催中のブラジルでは戦隊がめっさ人気でした。今後の展開は?

戦隊って仰っていましたが、メタルヒーローかな。
『世界忍者戦ジライヤ』『巨獣特捜ジャスピオン』がブラジルで人気とのこと。
『聖闘士星矢』も大人気。
ということで、グッズを売りたいんだけど関税が高い(30~40%)なので
現地生産を計画している。もう現地法人は作ったとのこと。

質疑21 消費税増税の影響。特にアミューズメント事業は?

コインオペレート事業(アーケードゲーム)やベンダー事業(ガチャガチャ)は
ダイレクトに影響を受けていて1年で10億円のマイナスインパクト予想とのこと。
電子マネーへの転換などを進めてはいるが、まだまだ。
当面は付加価値と単価を高めて行く方向で頑張るとのこと。

他にもインタレスティングな質問がありましたが、このへんで。

映像音楽作品PV(20分)

総会終了後、自社商品の紹介PVを見てきました。
最初に桑島法子さんの声でご挨拶があって嬉しかったです。

内容は一般にも公開されてるPV。
続けて見ると、バンナムグループのコンテンツの多さに驚きますね。
アイマス・アイカツ!・ラブライブ!が同じグループというのも
改めて考えるとすごい。

超個人的には『Gのレコンキスタ』のPVを見てちょっと不安になったりしてました。

株主体験会

PVを見終わったあと、体験会会場へ

鎧武さん・バロンさん撮影&握手会

私は見れなかったのですが、『ナジャヴとモジャヴ』の撮影&握手会も
あったそうです。

展示物:アイカツ!



展示物:ガンダム



取締役とフリーで話せる

体験会の最中は、取締役が会場にいるので自由に話せます。
これがバンダイナムコ株主総会で一番好きなところ。
素晴らしいと思います!



J-WORLDの苦戦は、個々の作品のファンにはいいけど
色んなタイプの作品が混ざり合ったパーク全体として
上手く機能できてないと話がありました。

図らずも、同じ池袋のキャラクロで「世界観の統一」効果が出ているので
抜本的な改革が必要かもしれませんね。
(期間やエリアを区切って単一作品で統一するとか)

それと、「キャラクロの店舗増は考えていますか?」も聞いてみたら
「検討してる」とのことでした。(「検討します」ではなく)
どのレベルで検討しているのかは分かりませんでしたが、楽しみにしています。

お土産

・ガンダム35周年記念イラストシール
・ガンプラ(スタービルドストライクガンダム プラフスキーウイング)
・浅草花やしきペアチケット

35周年にからめてガンプラきました!


なにかいろいろ書くことがもれてる気がしますが
今回はこんなところで。
バンナムは毎年楽しみにしている総会です。
来年もぜひ行きたいですね。

【HearthStone】ARENA100回組手に挑んでみました

『HearthStone』というネット上で出来るカードゲームが最近面白いです。

基本は英語ですが、日本語wikiもあるので興味ある方はこちら↓
TOP - HearthStone(ハースストーン) 日本語wiki[TCG]

その中の『ARENA』というプレイモードが好きで
コツコツと100回まわしてみたので、戦績を整理しようと思います。

ほぼ自分用の記事。

タルト(この記事書いてる人)のスペック

マジック・ザ・ギャザリングをプレイしていたので、カードゲーム歴はそこそこ。
対戦型ゲームではどのゲームでも勝率が6割に落ち着く
「負けまくりはしないけど大きくも勝てない」レベルのプレイヤーです。
スイスドロー7回戦なら「4-3」か「5-2」が定位置。

デッキ構築やメタ読みは友達に任せたい派です。
プレイ頑張る勢。
リミテッドスキー。

勝利数

ARENAでは、ランダムに配られたカードの中からデッキを構築し
そのデッキで12勝または3敗するまで対戦を行います。

そこで、何勝まで行けたの?というグラフがこちら↓

f:id:Tarte41:20140519022610j:plain

綺麗な正規分布で感動しました。
右端が出っ張っているのは、12勝するとそこで終了だからです。

それと、「100回プレイして0勝3敗がない」というのは
ちょっと自慢したいポイントです。
実際には、同じ勝率の人同士を出来るだけ対戦させるように
マッチングされてるっぽいので、2連敗した時点で
弱いデッキな相手と当たるから?というかんじ。

あと「100回もやって12勝4回しかないの!?」とかイジメないでください。
お願いします。
配信をよくやってる上級プレイヤーの方々との差をこの辺で感じますね。

ヒーロー別勝率

ヒーロー プレイ数 勝率
Shaman 11 68 32 68.0%
Mage 10 68 35 66.0%
Druid 12 64 33 66.0%
Hunter 12 62 35 63.9%
Priest 11 49 28 63.6%
Rogue 12 62 36 63.3%
Paladin 12 58 36 61.7%
Warrior 10 48 30 61.5%
WarRock 10 45 30 60.0%
合計 100 524 295 64.0%

出来るだけ全ヒーローを満遍なくプレイしてみました。

公式情報によると、2014年4月のARENA勝率トップ3は
1. Mage  53.20%
2. Rogue  53.11%
3. Paladin 51.69%
ソース:Hearthstats April Stats

とのことで、全然傾向が違いますね。
武器職の勝率が低いので、もっと素振りした方がよさそうです。

一方で公式ワースト3は
7. Warrior 46.24%
8. Priest  42.25%
9. Warlock 42.21%

と納得の結果。
構築と違ってARENAでは2ライフで引けるカードの価値が
不安定だから、WarRockは厳しいと思います。
ランダム好きとしては、除去ってデーモン召喚とか大好物ですが!

先手後手別勝率

最初の19試合は先手後手の記録を取ってなかったので
20試合目以降からの集計になります。

  試合数 勝率
先手 404 267 137 66.1%
後手 396 247 149 62.4%

先手の方が勝率いいです。
ザコイン+手札1枚のアドバンテージは大きいと思っていたので
ちょっと意外な結果でした。
自ヒーロー・相手ヒーローごとに集計してみると楽しそうですが
それはまたどこかで。

12勝デッキを並べてみる

4回とも別々のヒーローでした。
ヒーローの後の数字は「ミニオン-スペル」の枚数です。
ミニオンを召喚するスペルはミニオン扱い。

基本的に22-8のバランスを意識してカード選択しています。

51回目:Mage(23-7)

最初の50回で12勝が達成できず、ガッカリしてたところに
突然覚醒しました。

f:id:Tarte41:20140519034809j:plain f:id:Tarte41:20140519034818j:plain

どれがスゴいというより、バランスの取れたデッキ。
ファイアボール2枚にフレイムストライクが安心ですね。
Kirin Tor MageMirror Entityを張れるパターンが
多くてラッキーでした。
ただ、アイスバリアはやりすぎでした。

68回目:Shaman(21-9)

一番勝率のいいShaman。

f:id:Tarte41:20140519040044j:plain f:id:Tarte41:20140519040053j:plain

左側が3マナ以下、右側は4マナ以上と並べていますが
見た目にはっきりとマナ域が低いです。
Shamanの軽量除去は優秀ですね。

ドローに難のあるデッキでしたが、召喚トーテムを
Flametongue Totemで強化したりしてやりくりしてました。
MVPは2枚あるForked Lightning
あと、いつでも強いファイアエレメンタルさん。

94回目:Priest(22-8)

弱いけど大好きPriest。
Thoughtstealを撃ってる余裕があるのが
ARENAのいいところだと思います。
楽しい。

f:id:Tarte41:20140519042359j:plain f:id:Tarte41:20140519042408j:plain

印象に残ってる思い出は、Thoughtstealで相手のYseraを引いてきて
プレイしたら相手もYsera。
それをFaceless Manipulatorでコピーしたら、返しでDeathwingを食らったので
それをMind Controlして勝ちという謎のアツいデュエルがありました。
遊戯王か。

100回目:Hunter(23-7)

100プレイ目が上手いこと12勝でした。
思わずガッツポーズ。

まだ犬が2マナだった時代です。

f:id:Tarte41:20140519042953j:plain f:id:Tarte41:20140519043001j:plain

犬はいるけど鳥がいない残念なデッキでしたが
キルコマンド3枚が本体火力的に強かったです。

終盤に犬からのキルコマンドが意識されてない場合が多く
相手が盤面掃除を緩めてこちらの本体を殴ってきたところに
返しの大火力で逆転なケースがよくありました。

2マナミニオンが1体だけという変わったデッキでしたが
トラップや犬で序盤が凌げれば、ファッティ(オーガなど)連打で
圧倒出来るパワーがあります。

気になるドローは、インプマスター→カルトマスターのマスターズや
犬→カルトマスターのわんわんマスターでなんとかなりました。
1枚しかないのに、カルトマスターの引きがよかったのがラッキーでした。

しばらくのんびり

目標にしてたARENA100回組手が終わったので
しばらくまったりプレイする予定です。

そういえば、よく攻略サイトにあるカードのリンクをマウスオーバーすると
カードの画像が出てくるのって、どうやってやってるんでしょうか?

カップリング表記の論文が掲載されました

手前Miso全開な話です。

昨年、日本マンガ学会に論文を投稿したのですが
それが学会誌『マンガ研究 vol.20』に掲載されました。

マンガ研究 vol.20 第13回大会シンポジウムマンガとアジア

マンガ研究 vol.20 第13回大会シンポジウムマンガとアジア

「1980年代のコミックマーケットカタログにおけるカップリング表記の変遷(BL・やおい)」
というタイトル(長い)で22ページほど書いています。

どんな論文?

コミケカタログのサークルカットから「カップリング表記と思われる文字列」を抜き出して
集計してみた的な論文です。
今回は1980年代に参加した全サークル(約75,000サークル)のデータを使用。
さらに比較用として2013年夏コミのデータも掲載しています。

タイトルには「BL・やおい」と書いていますが、検索性を意識しただけで
実際には異性カップリング・女性同士のカップリングの情報もあります。

ウリとしては↓

(おそらく)世界初の「カップリング表記の定量化にチャレンジした論文」

先行研究・書籍などを調べてみましたが、カップリング表記を体系化して
「いつ」「どんなカップリング表記が」「いくつ」使われていたのかを
示す資料は見つかりませんでした。
コミケカタログという限定された環境ではありますが
この論文が初ではないかと思います。

「攻」「受」「×」などの初出とトレンドが分かる

普段なにげなく使っている「攻」「受」「×」などの表記が
いつ頃から使われているか、当時の表記トレンドはどうだったのかが一目で分かります。

詳しくは論文を参照して頂きたいのでですが、
80年代の表記トレンドは今とは全然違います。

といった、普段なにげなく使っているカップリング表記の
歴史を知りたい時にお役立ちな論文になっています。

また、実際に表記が使われてる様子が分かるよう
当時のサークルカットを多数引用していますので
それを眺めてるだけでも楽しいです。

先行研究として役に立つ!(といいな)

カップリング表記に関する先行研究が見当たらなかったため
この論文内でいろんな用語を定義しました。

例えば、「黄黒」「リヴァエレ」などの名前を繋げたカップリング表記を
『連結表記』と命名したり、「カップリング表記」の英訳を
「Coupling notation」としたりなどなど。

今後のマンガ研究や、同人文化研究などで参考にして頂ければ嬉しいです。

論文を書いた経緯

特に研究者でもない一般ピーポーな私がなんで論文を?ということで
いろいろ不思議な縁がありました。

・英国使用人研究をしてる友人に
「コミケカタログにいつ頃からメイドが出てるか調べてほしい」と依頼される

・調べてみたら、昔のコミケカタログの面白さに気づく

・私設図書館カフェ『シャッツキステさん』
 コミケカタログのトークイベント『コミケカタログ夜話』をやらしてもらう

・夜話にいらっしゃった『米沢嘉博記念図書館』の方からイベントのオファーを頂く

・米沢嘉博記念図書館にてトークイベント『コミケカタログ千夜一夜』を実施

・イベント内の1コーナーとして話したカップリング表記の話が好評
 「引用したい人がいると思うので論文化してみませんか」とご提案を頂く

・論文書いてみた

という不思議な流れがありました。
そんなわけで今回の論文は「先行研究として役に立つ」ということを
主眼に書いてみたつもりです。

この論文を読むには

一応、上にはamazonのリンクを貼ってみましたが、ずっと売り切れで
日本マンガ学会に問い合わせてみたところ、入荷は未定とのこと。(とても残念…)

↓ゆまに書房さんにオンラインショップの一覧がありましたので
 馴染みのある所でゲットして頂ければと思います。
http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843345481

むしろ『COMIC ZIN』さんとかに置いてくれないかなと思ったり。

あと、秋葉原にある私設図書館カフェ『シャッツキステさん』に寄贈しましたので
時期によっては本棚に置いてあると思います。(館内でフリーに読めます)

【2014/06/03追記】マンガ研究が読める場所(確認済)
amazonでプレミア価格になってしまって一向に入荷されないので
気軽に読める場所を↓
国立国会図書館―National Diet Library
米沢嘉博記念図書館TOP

自分では確認できていないのですが、↓こちらにもあるとのことです。
研究閲覧室 | 京都国際マンガミュージアム - えむえむ

ちょっとしたお願い

論文は本名で書いてるので、いろいろお察しくださいm(_ _)m

続編

今回の論文は1980年代の話でしたが、続く1990年代もいま絶賛調査中です。
このブログでも途中経過を書いていますが
夏コミに受かっていれば、まとめて同人誌という形で発表する予定です。

↓途中経過など、関連記事はこちらにあります
カップリング表記の記事一覧

↓初めての方にオススメの記事
ニコニコ学会βデータ研究会でカップリング表記の発表をしてきました

【コミケカタログで90年代のカップリングを調べてみた】第六回:1994年はジャンプ復古の大号令!

コミケカタログのサークルカットからカップリング表記を抜き出して
カップリングの歴史を見ていこう的な記事、第六回目です。
今回はカップリング史において重要なターニングポイント、1994年を見ていきます。

1994年のコミケ

夏(C46)と冬(C47)の2回開催されました。

↓当時のコミケカタログはこちら
 

開催場所と参加人数の推移(90年代)

回数 季節 会場 日数 サークル 参加人数
C38 1990 幕張メッセ 2 13,000 230,000
C39   幕張メッセ 2 13,000 250,000
C40 1991 東京国際見本市会場(晴海) 2 11,000 200,000
C41   東京国際見本市会場(晴海) 2 14,000 200,000
C42 1992 東京国際見本市会場(晴海) 2 12,000 250,000
C43   東京国際見本市会場(晴海) 2 15,000 180,000
C44 1993 東京国際見本市会場(晴海) 2 15,000 250,000
C45   東京国際見本市会場(晴海) 2 16,000 200,000
C46 1994 東京国際見本市会場(晴海) 2 16,000 240,000
C47   東京国際見本市会場(晴海) 2 16,000 200,000

94年は場所もサークル数も変化なしです。安定期。
翌年の夏コミに初の3日開催が待ち受けています。

94-1:カップリング表記数の推移

カップリング表記の単純合計です。

f:id:Tarte41:20140427211900j:plain

順調に増加しています。
93年以降はほぼ10%ずつ安定した増加を見せています。

カップリング表記サークル数の推移

カップリング表記を書いているサークルの数を調べてみました。
f:id:Tarte41:20140427212726j:plain
※表記サークル率=表記サークル数/全サークル数[%]

こちらも増加の一途。
夏→冬にはカップリング表記を書くサークルが350以上も増えています。
全体の2割近く。

94-2:記法別ランキング

カップリング表記の記法(書き方)別のランキングです。

順位 C46 表記数 構成比 C47 表記数 構成比
1 × 1,998 53.3% × 2,244 54.1%
2 528 14.1% 586 14.1%
3 連結 503 13.4% 連結 553 13.3%
4 223 6.0% 273 6.6%
5 151 4.0% 144 3.5%
6 固有 123 3.3% 111 2.7%
7 107 2.9% 固有 99 2.4%
8 60 1.6% 77 1.9%
9 8 0.2% 6 0.1%
10 7 0.2% 6 0.1%

遂に「×」表記が5割を超えてきました!(前年のC45は48.9%)
前回の記事にも書きましたが、「×」表記を多く使う『SLAMDUNK』『幽遊白書』の
人気が高くなってきたのが主要因になっています。
※2作品とも×表記の使用率が約65%と高い数値

「❤」表記はこの時代も安定した人気ですね。

サンドっぽい表記

矢印で挟み込む形のサンドっぽい表記が登場しています。


[コミケット46カタログ P.109より抜粋]

キャプテン翼ジャンルですね。
若島津と三杉が松山を挟み込む形になっています。

94-3:作品別ランキング

どんな作品が(カップリング表記的に)流行っているのか見ていきます。
この年は順位の大変動が起きています。

順位 C46 表記数 構成比 C47 表記数 構成比
1 SLAMDUNK 677 18.1% SLAMDUNK 1,029 24.8%
2 幽遊白書 619 16.5% 幽遊白書 548 13.2%
3 サムライトルーパー 484 12.9% サムライトルーパー 440 10.6%
4 サイバーフォーミュラ 317 8.5% サイバーフォーミュラ 273 6.6%
5 光GENJI 194 5.2% 炎の蜃気楼 159 3.8%
6 炎の蜃気楼 143 3.8% キャプテン翼 128 3.1%
7 キャプテン翼 124 3.3% 光GENJI 114 2.7%
8 SMAP 96 2.6% セーラームーン 89 2.1%
9 聖闘士星矢 86 2.3% シュート! 87 2.1%
10 ドラゴンボール 70 1.9% SMAP 75 1.8%

トルーパーが首位陥落!

1990年から4年に渡る安定政権となったサムライ幕府が
いよいよ次の世代へとバトンを渡すことになりました。

その次代の雄『SLAMDUNK』と『幽遊白書』については
夏コミこそほとんど差がない状況でしたが、冬コミでは状況が一変し
ほぼダブルスコアでバスケットマンが首位をガッチリキープしています。

個人的には2作品にここまで差があるとは思っていませんでした。
93年では『幽遊白書』の方が多いので、アニメ化が1年ずれてる
影響が大きいのかも知れません。(『SLAMDUNK』の方が1年遅い)
それと『幽遊白書』はこの年の32号(おそらく7月頃)で本誌の連載が終了しています。

この頃のジャンプは黄金期のピークに近く、これまでジャンプを支えてきた人気漫画が
次々と終盤に差し掛かっている姿が今の2014年と重なる気がします。(余談)

首位は譲ったとはいえ、トルーパーも大崩れはせず夏冬ともに3位をキープ。
アイドルジャンルでは、光GENJIとSMAPの差がじりじりと詰まっていっています。

『シュート!』に注目

注目は冬9位の『シュート!』。
93年11月からのアニメ化に加え、SMAP主演の実写映画も公開され(94年3月)
急上昇してきました。
実写映画版はものすごい豪華キャストですね↓
シュート! - Wikipedia

94-4:カップリング表記ランキング

名寄せしていない純粋な「カップリング表記」のランキングです。
書き方も含めて、どのカップリング表記が流行っているか見てみます。

C46(1994年夏)

順位 C46 表記数 構成比 作品
1 蔵×飛 67 1.8% 幽遊白書
2 流×花 66 1.8% SLAMDUNK
3 征当 59 1.6% サムライトルーパー
4 A^2 58 1.5% 光GENJI
5 飛×蔵 50 1.3% 幽遊白書
6 仙×流 39 1.0% SLAMDUNK
  仙×越 39 1.0% SLAMDUNK
8 直×高 38 1.0% 炎の蜃気楼
  ブー×修 38 1.0% サイバーフォーミュラー
10 グー×ハー 30 0.8% サイバーフォーミュラー
  花×流 30 0.8% SLAMDUNK

作品別ではスラダンの後塵を拝した幽白ですが
カップリング表記では「流×花」をかわして「蔵×飛」がトップ!

前回首位の「征当」もしっかり3位をキープしています。

そして、光GENJIと言えばの「A^2」(2乗)が4位。
両方仙道絡みの「仙×流」と「仙×越」が同数なのも面白いですね。

C47(1994年冬)

順位 C47 表記数 構成比 作品
1 流×花 102 2.5% SLAMDUNK
2 征当 68 1.6% サムライトルーパー
3 直×高 50 1.2% 炎の蜃気楼
4 仙×越 46 1.1% SLAMDUNK
5 花×流 43 1.0% SLAMDUNK
6 仙×流 41 1.0% SLAMDUNK
7 蔵×飛 39 0.9% 幽遊白書
8 ブー×修 36 0.9% サイバーフォーミュラー
9 飛×蔵 36 0.9% 幽遊白書
10 仙×花 36 0.9% SLAMDUNK

冬コミは「流×花」祭り!
この表記だけ3桁で頭ひとつ抜けてますね。

すごいのは2位の「征当」。
ジャンルとしては減ってるのにこのカップリングは増えるという
インタレスティングな現象が起きています。
ブラボー。

3位は『炎の蜃気楼』から「直×高」が上がってきました。
これも作品としては5位なのですが、「直×高」率の高さがすごいですね。(約3割)

記法ベースで見てみると、「征当」以外は全て「×」表記が使われていて
完全に「×」時代に入っていることが分かります。

94-5:攻め受けマトリックス

新しい作品が増えてきたので久々に攻め受けマトリックスを作ってみます。

※攻受上位10キャラまで表示
※合計値は見えてないキャラの分も含んでいます
※攻キャラの「-」は「~受」などで攻キャラが指定されてないケース

SLAMDUNK(1994年合計)

f:id:Tarte41:20140428000148j:plain

トップ5を赤くしてみました。
攻キャラランキングでは仙道がトップ。
受キャラでは主人公桜木花道がトップになっています。
注目の流川は攻受両方で2位というハイスペックぶり。

いろんなキャラと絡んでる仙道・流川・花道とは対照的に
2人で独自の世界を築いているのが
「三井×木暮」
「神×清田」
「花形×藤真」

あたりでしょうか。

幽遊白書(1994年合計)

f:id:Tarte41:20140428002047j:plain

これは極端な結果が出ました。
攻キャラランキングも受キャラランキングも
蔵馬・飛影・幽助の1-2-3です!

コエンマ先生も頑張ってはいますが、この3キャラがダントツで抜けてますね。

蔵馬は「蔵馬」と「妖狐蔵馬」と「南野秀一」が表記上分かれていたので
別キャラとして集計しています。
別々で集計してもダントツの蔵馬人気。

それと、桑原は思ったより攻キャラ認識で驚きました。

独自の世界で言えば「鴉×蔵馬」のヤンデレ攻カップルでしょうか。
トップテンに入っていないところでは「軀×飛影」「陣×凍矢」も二人だけの世界です。

94-6:【余談】カップリング表記以外のトピックス

「BOY's LOVE」が初登場

今でこそメジャーですが、「BOY's LOVE」という単語がサークルカットに出てきました。
JUNEジャンルです。

[コミケット47カタログ P.342より抜粋]

Twitterで頂いた情報がこちら↓

歌う戦艦少女「びすまる子ちゃん」


[コミケット46カタログ P.427より抜粋]

ビスマルクは1994年に導入されてました。

タイタニア4巻を待つ人々(1994年夏)


[コミケット46カタログ P.179より抜粋]

タイタニア4巻は20年くらい待てば出ます!

タイタニア4<烈風篇> (講談社ノベルス)

タイタニア4<烈風篇> (講談社ノベルス)

94-7:1994年まとめ

・スラダン・幽白の時代へ(サンライズからジャンプへの大政奉還)
・全体の半分以上が「×」表記に
・「流×花」「蔵×飛」が大人気
・「征当」「直×高」も頑張ってる

1994年は遂に90年代作品がトップを取った歴史的な転換点となりました。
しかも続く95年には『ガンダムW』『エヴァンゲリオン』と超大物が控えているので
この先の展開も楽しみです。

それではまた次回!

次の記事

tarte41.hatenablog.com

【コミケカタログで90年代のカップリングを調べてみた】第五回:1993年に吹き荒れる維新の嵐!

少し間が空きましたが、コミケカタログのサークルカットからカップリング表記を抜き出して
集計してみたかんじの記事、第五回目です。
今回は1993年を見ていきます。

1993年のコミケ

夏(C44)と冬(C45)の2回開催されました。

↓当時のコミケカタログはこちら
 

開催場所と参加人数の推移

回数 季節 会場 日数 サークル 参加人数
C38 1990 幕張メッセ 2 13,000 230,000
C39   幕張メッセ 2 13,000 250,000
C40 1991 東京国際見本市会場(晴海) 2 11,000 200,000
C41   東京国際見本市会場(晴海) 2 14,000 200,000
C42 1992 東京国際見本市会場(晴海) 2 12,000 250,000
C43   東京国際見本市会場(晴海) 2 15,000 180,000
C44 1993 東京国際見本市会場(晴海) 2 15,000 250,000
C45 東京国際見本市会場(晴海) 2 16,000 200,000

91年と92年の夏コミはサークル数が減っていましたが
93年の夏コミは前年冬と同じ15,000サークル。
そして冬コミはそこから1,000サークル増加しています。

93-1:カップリング表記数の推移

f:id:Tarte41:20140423213318j:plain

参加サークル数が減った回(C40・42)以外は増加の一途です。

カップリング表記サークル数の推移

カップリング表記を書いているサークルの数を調べてみました。
f:id:Tarte41:20140423213957j:plain
※表記サークル率=表記サークル数/全サークル数[%]

93年は全体で約15%のサークルがカップリング表記を書いていました。
C43→C44では2.3%と大きく増えています。
その反動か、冬コミ(C45)では0.4%の増加に留まっています。

参考までに、2013年(C84・85)の表記サークル率は37.7%でしたので
ここからまだまだ上がっていくことが予想されます。

93-2:記法別ランキング

カップリング表記の記法(書き方)別のランキングです。

順位 C44 表記数 構成比 C45 表記数 構成比
1 × 1,295 43.2% × 1,615 48.9%
2 514 17.1% 576 17.4%
3 連結 500 16.7% 連結 411 12.4%
4 188 6.3% 212 6.4%
5 143 4.8% 150 4.5%
6 固有 128 4.3% 固有 120 3.6%
7 111 3.7% 90 2.7%
8 70 2.3% 70 2.1%
9 ハーレム 7 0.2% 14 0.4%
10 7 0.2% ハーレム 5 0.2%

「×」表記の増加

完全にトレンドは「×」表記に移行しています。
半分近いカップリング表記に「×」が使われている状況です。

C44→C45の構成比を見ると、連結表記が減った分
「×」表記が増えている印象です。

これは、主要作品の表記数推移と記法使用率を見てみると↓

作品名 C44表記数 C45表記数   × 連結
鎧伝サムライトルーパー 775 580 34% 30%
新世紀GPXサイバーフォーミュラ 517 372 63% 14%
幽遊白書 251 468 66% 3%
キャプテン翼 218 207 13% 38%
SLAMDUNK 84 308 72% 4%

・「征当」「伸遼」など、連結表記の使用率も高いトルーパーが
 表記数を落としたこと

・新興勢力の『幽遊白書』『SLAMDUNK』が連結表記を
 殆ど使わず、「×」をメインに使っていること

の2つが大きな原因と考えられます。

「*」表記が初登場

2013年の記法別ランキングでは5位だった「*」表記ですが
これまで初出がいつなのかが分かっていませんでした。
その「*」がC45(1993年冬コミ)で遂に初登場!


[コミケット45カタログ P.196より抜粋]

今でこそ表計算ソフトの影響で「*」が「×」と同じ意味で使われる
という認識がありますが、早くも1993年に登場していたのは意外でした。
もちろんWindows95の発売前です。(当時はWindows 3.1)

やはり初出は手書きではなく、パソコン/ワープロのようですね。

また、この時点では「使われた」というだけで
全く普及はしていません。(C45でもこの1サークルだけ)

リバーシブルの模索

近年リバーシブルと言えば「黄黒黄」とか「兎虎兎」みたいな
キャラクターAとBを「ABA」と並べて書く「連結リバ」記法がメジャーだと思います。
その連結リバがC45で初登場していました。


[コミケット45カタログ P.264より抜粋]

TMNで「木根ウツ木根」と書かれています。

また、リバーシブルを⇔(両矢印)で表現している方もいました↓


[コミケット45カタログ P.153より抜粋]

その他、記号などを用いずに「リバーシブル有」と書いてみたり
この年はリバの書き方をいろいろと模索している時期だったようです。

女体化表記

1993年は初出の表記が多いですね。
女体化の表記もこの年に初登場しています。

[コミケット44カタログ P.154より抜粋]

「当❤伸(♀)」と書かれています。
自嘲気味に汗マークがついてるのが可愛らしい。

女体化自体は以前からありましたが、カップリング表記に
組み込まれたのはこれが初めてです。

93-3:作品別ランキング

どんな作品が(カップリング表記的に)流行っているのか見ていきます。

順位 C44 表記数 構成比 C45 表記数 構成比
1 サムライトルーパー 775 25.9% サムライトルーパー 580 17.6%
2 サイバーフォーミュラ 517 17.2% 幽遊白書 468 14.2%
3 幽遊白書 251 8.4% サイバーフォーミュラ 372 11.3%
4 キャプテン翼 218 7.3% SLAMDUNK 308 9.3%
5 光GENJI 164 5.5% キャプテン翼 207 6.3%
6 聖闘士星矢 135 4.5% 炎の蜃気楼 158 4.8%
7 ドラゴンボール 106 3.5% 光GENJI 138 4.2%
8 炎の蜃気楼 94 3.1% 聖闘士星矢 113 3.4%
9 SLAMDUNK 84 2.8% ドラゴンボール 105 3.2%
10 SMAP 39 1.3% セーラームーン 57 1.7%

トルーパーが4年連続で首位をキープ!

1990年から続くサムライの時代に待ったをかけた
黒船サイバーフォーミュラをもってしてもトルーパーの牙城は崩せず。
そこに週刊少年ジャンプの薩摩と長州こと
『幽遊白書』と『SLAMDUNK』が同盟を組んで襲いかかる!
みたいな展開ですね。

それにしてもトルーパーは本放送後にOVAは出ているとはいえ
80年代の作品がここまでトップジャンルとして人気があるのはすごいですね。
サークルカットを見てるだけで、みんなから愛されてる様子が伝わってきます。

ミラージュにセーラームーン

注目作品としては、じわじわと人気が出てきている名作『炎の蜃気楼』。
そしてこれもまた伝説級の名作『美少女戦士セーラームーン』が遂にトップテン入り!
「クン×ゾイ」のBLカップリングも人気ですが、「レイ×亜美」「まこと×亜美」など
この時代には男性同士だけではなく、女性同士にもカップリング表記が使われていたことが分かります。
(初出はもっと前ですが、普及し始めたという意味で)

93-4:初めてカップリング表記が書かれた作品

この時代はかなり作品数が増加しています。

C44(1993年夏)

作品名 表記数 ジャンル
魍魎戦記MADARA摩陀羅弐 3 漫画
スプリガン 2 漫画
ハーメルンのバイオリン弾き 2 漫画
BASARA 1 漫画
ナニワ金融道 1 漫画
ハイスクール!奇面組 1 漫画
ペナントレース やまだたいちの奇蹟 1 漫画
ぼくの地球を守って 1 漫画
緑野原学園シリーズ 1 漫画

青年・少年・少女漫画と幅広いジャンルで出現。
少し遅い気もしますが、ぼく地球が登場してますね。
ハーメルンはアニメ化前です。

作品名 表記数 ジャンル
鉄人28号FX 5 アニメ
新ビックリマン 2 アニメ
勇者特急マイトガイン 2 アニメ
元気爆発ガンバルガー 1 アニメ

鉄人28号FXが出てきました。
「正人×三郎」が人気です。
勇者シリーズはマイトガインの時代へ。
まだ番組が始まったばかりなので、ブレイクはこの後です。

作品名 表記数 ジャンル
ファイナルファンタジー5 6 ゲーム
ドラゴンクエスト5 2 ゲーム
餓狼伝説シリーズ 2 ゲーム
ファイアーエムブレム外伝 1 ゲーム

ドラクエ・FFは5の時代です。
ビアンカかフローラかというよりヘンリーが人気。

そして格ゲーブーム真っ只中、カップリング界に餓狼伝説が登場。
シリーズとしては2で不知火舞とかキムが登場したあたりです。
1992年のアニメ化も影響してるかもしれません。

作品名 表記数 ジャンル
なんて素敵にジャパネスク 1 小説

小説はなんジャパだけ。

作品名 表記数 ジャンル
恐竜戦隊ジュウレンジャー 1 特撮
NIGHT HEAD 2 ドラマ
さすらい刑事旅情編 1 ドラマ
ダウンタウン 2 お笑い
SKIN 2 音楽
D'ERLANGER 1 音楽
DIE IN CRIES 1 音楽
LOUDNESS 1 音楽
M-AGE 1 音楽

個人的な注目は『NIGHT HEAD』。
当時は深夜番組とは思えない人気でした。

音楽ジャンルは黒っぽくなってきています。

C45(1993年冬)

作品名 表記数 ジャンル
BOY 2 漫画
俺はジュウベイ! 2 漫画
GS美神 極楽大作戦!! 1 漫画
アーシアン 1 漫画
グラップラー刃牙 1 漫画
ボンボン坂高校演劇部 1 漫画
マドモアゼル・モーツァルト 1 漫画
ロトの紋章 1 漫画
究極!!変態仮面 1 漫画
強殖装甲ガイバー 1 漫画
赤ちゃんと僕 1 漫画

夏に『ぼく地球』とくれば、もちろん冬には『赤僕』が!

そして『BOY』、『ボンボン坂』に『変態仮面』と、ジャンプは常に
新作をコンスタントに送り込んできています。

ガンガン枠では『ロト紋』にも注目です。

作品名 表記数 ジャンル
アニメ三国志 3 アニメ
疾風!アイアンリーガー 3 アニメ
忍たま乱太郎 3 アニメ

時の河については一旦置いておくとして
史上初の忍たま彗星が観測されています。
土井先生大人気。

作品名 表記数 ジャンル
SAMURAI SPIRITS 3 ゲーム
龍虎の拳シリーズ 1 ゲーム

格ゲーブームと言えばSNK!
夏の『餓狼伝説』に引き続き、『龍虎』『サムスピ』が登場しています。
このあと、KOFへの流れも楽しみですね。

作品名 表記数 ジャンル
富士見二丁目交響楽団 2 小説
逆宇宙ハンターズ 1 小説
浅見光彦シリーズ 1 小説
風の大陸 1 小説

『フジミ』が初登場。
↓を見ると、文庫化されたのは1994年とのことなので雑誌連載からでしょうか。
富士見二丁目交響楽団 - Wikipedia

作品名 表記数 ジャンル
五星戦隊ダイレンジャー 1 特撮
特捜ロボ ジャンパーソン 1 特撮
振り返れば奴がいる 13 ドラマ
水戸黄門 1 ドラマ
KinKi Kids 1 アイドル
Wコウジ 3 お笑い
130R 1 お笑い
access 3 音楽
LUNA SEA 3 音楽
BY-SEXUAL 1 音楽
ZI:KILL 1 音楽
レピッシュ 1 音楽

織田裕二無双第一弾が始まっています。
『振奴』こと『振り返れば奴がいる』が初登場で2桁表記。
ドラマジャンルはサークル数が多くないので、いきなりトップ作品に躍り出ています。

水戸黄門は意外とこの時期に初登場。
サークル自体は初期からありますが、カップリング表記が書かれるのは初。

音楽ジャンルは大物が登場してますね。

93-5:カップリング表記ランキング

名寄せしていない純粋な「カップリング表記」のランキングです。
書き方も含めて、どのカップリング表記が流行っているか見てみます。

C44(1993年夏)

順位 C44 表記数 構成比 作品
1 征当 94 3.1% サムライトルーパー
2 グー×ハー 67 2.2% サイバーフォーミュラ
3 ブー×修 55 1.8% サイバーフォーミュラ
4 A^2 55 1.8% 光GENJI
5 伸×遼 40 1.3% サムライトルーパー
6 蔵×飛 39 1.3% 幽遊白書
7 当征 37 1.2% サムライトルーパー
8 グーハー 37 1.2% サイバーフォーミュラ
9 健小次 37 1.2% キャプテン翼
10 31 1.0% 光GENJI

「征当」強い!
92年冬に続いての連覇です。
受攻逆転した「当征」も7位に入っていますね。

2位・3位はサイバーフォーミュラを代表する
2カップル(グー×ハー・ブー×修)が入ってきています。

「A^2」は「Aの2乗」の意味です。

C45(1993年冬)

順位 C45 表記数 構成比 作品
1 蔵×飛 66 2.0% 幽遊白書
2 征当 64 1.9% サムライトルーパー
3 直×高 57 1.7% 炎の蜃気楼
4 A^2 45 1.4% 光GENJI
5 ブー×修 41 1.2% サイバーフォーミュラ
6 グー×ハー 35 1.1% サイバーフォーミュラ
7 グーハー 32 1.0% サイバーフォーミュラ
8 征×当 30 0.9% サムライトルーパー
9 健小次 29 0.9% キャプテン翼
10 伸×遼 28 0.8% サムライトルーパー

冬になって順位が大変動!
「蔵×飛」が僅差でトップに躍り出ています。

そして3位にはランク外から炎の蜃気楼「直×高」がランクイン。
『炎の蜃気楼』は、カップリング表記の絶対数では6位に留まっていますが
その表記の1/3以上が「直×高」という一点集中型の作品になっています。
今で言えば『タイバニ』に近い形ですね。(タイバニは「兎虎」表記が3割)

そしてこの激動のランキングの中でも、しっかり9位をキープしている
「健小次」すごいですね。崩れません。

93-6:1993年まとめ

・×が半数近くまで普及
・リバ、女体化など新しい記法の模索
・『幽白』『スラダン』『ミラージュ』『セーラームーン』と新興勢力の躍進
・新興勢力が現れてもやっぱり『トルーパー』
・幽白と音楽系を中心にサークルカットが黒い

1993年はカップリング表記(記法)にしても作品にしても
80年代の影響力を脱して90年代独自の文化が台頭していく
機運が高まっている年でした。

それではまた次回、1994年版で!

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