カップリング表記の論文が掲載されました

手前Miso全開な話です。

昨年、日本マンガ学会に論文を投稿したのですが
それが学会誌『マンガ研究 vol.20』に掲載されました。

マンガ研究 vol.20 第13回大会シンポジウムマンガとアジア

マンガ研究 vol.20 第13回大会シンポジウムマンガとアジア

「1980年代のコミックマーケットカタログにおけるカップリング表記の変遷(BL・やおい)」
というタイトル(長い)で22ページほど書いています。

どんな論文?

コミケカタログのサークルカットから「カップリング表記と思われる文字列」を抜き出して
集計してみた的な論文です。
今回は1980年代に参加した全サークル(約75,000サークル)のデータを使用。
さらに比較用として2013年夏コミのデータも掲載しています。

タイトルには「BL・やおい」と書いていますが、検索性を意識しただけで
実際には異性カップリング・女性同士のカップリングの情報もあります。

ウリとしては↓

(おそらく)世界初の「カップリング表記の定量化にチャレンジした論文」

先行研究・書籍などを調べてみましたが、カップリング表記を体系化して
「いつ」「どんなカップリング表記が」「いくつ」使われていたのかを
示す資料は見つかりませんでした。
コミケカタログという限定された環境ではありますが
この論文が初ではないかと思います。

「攻」「受」「×」などの初出とトレンドが分かる

普段なにげなく使っている「攻」「受」「×」などの表記が
いつ頃から使われているか、当時の表記トレンドはどうだったのかが一目で分かります。

詳しくは論文を参照して頂きたいのでですが、
80年代の表記トレンドは今とは全然違います。

といった、普段なにげなく使っているカップリング表記の
歴史を知りたい時にお役立ちな論文になっています。

また、実際に表記が使われてる様子が分かるよう
当時のサークルカットを多数引用していますので
それを眺めてるだけでも楽しいです。

先行研究として役に立つ!(といいな)

カップリング表記に関する先行研究が見当たらなかったため
この論文内でいろんな用語を定義しました。

例えば、「黄黒」「リヴァエレ」などの名前を繋げたカップリング表記を
『連結表記』と命名したり、「カップリング表記」の英訳を
「Coupling notation」としたりなどなど。

今後のマンガ研究や、同人文化研究などで参考にして頂ければ嬉しいです。

論文を書いた経緯

特に研究者でもない一般ピーポーな私がなんで論文を?ということで
いろいろ不思議な縁がありました。

・英国使用人研究をしてる友人に
「コミケカタログにいつ頃からメイドが出てるか調べてほしい」と依頼される

・調べてみたら、昔のコミケカタログの面白さに気づく

・私設図書館カフェ『シャッツキステさん』
 コミケカタログのトークイベント『コミケカタログ夜話』をやらしてもらう

・夜話にいらっしゃった『米沢嘉博記念図書館』の方からイベントのオファーを頂く

・米沢嘉博記念図書館にてトークイベント『コミケカタログ千夜一夜』を実施

・イベント内の1コーナーとして話したカップリング表記の話が好評
 「引用したい人がいると思うので論文化してみませんか」とご提案を頂く

・論文書いてみた

という不思議な流れがありました。
そんなわけで今回の論文は「先行研究として役に立つ」ということを
主眼に書いてみたつもりです。

この論文を読むには

一応、上にはamazonのリンクを貼ってみましたが、ずっと売り切れで
日本マンガ学会に問い合わせてみたところ、入荷は未定とのこと。(とても残念…)

↓ゆまに書房さんにオンラインショップの一覧がありましたので
 馴染みのある所でゲットして頂ければと思います。
http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843345481

むしろ『COMIC ZIN』さんとかに置いてくれないかなと思ったり。

あと、秋葉原にある私設図書館カフェ『シャッツキステさん』に寄贈しましたので
時期によっては本棚に置いてあると思います。(館内でフリーに読めます)

【2014/06/03追記】マンガ研究が読める場所(確認済)
amazonでプレミア価格になってしまって一向に入荷されないので
気軽に読める場所を↓
国立国会図書館―National Diet Library
米沢嘉博記念図書館TOP

自分では確認できていないのですが、↓こちらにもあるとのことです。
研究閲覧室 | 京都国際マンガミュージアム - えむえむ

ちょっとしたお願い

論文は本名で書いてるので、いろいろお察しくださいm(_ _)m

続編

今回の論文は1980年代の話でしたが、続く1990年代もいま絶賛調査中です。
このブログでも途中経過を書いていますが
夏コミに受かっていれば、まとめて同人誌という形で発表する予定です。

↓途中経過など、関連記事はこちらにあります
カップリング表記の記事一覧

↓初めての方にオススメの記事
ニコニコ学会βデータ研究会でカップリング表記の発表をしてきました