ニコニコ学会βデータ研究会でカップリング表記の発表をしてきました

先日こちら→第四回ニコニコ学会βデータ研究会(3月8日)
で↓こんな発表をやらせて頂きました。

資料はSlideShareとかにupして終了かなと思っていましたが
内容的に補足がないとさっぱりな気がするので、こちらで。
ニコ生・Twitter・当日頂いたコメント用紙の質問にも
回答しながら振り返ってみようと思います。

※発表当日は実際のサークルカットを映していましたが、ここでは隠しています
 (学術目的の引用範囲だと思いますが、念のため)

オープニングセレモニー


テンプレ通り、自己紹介を。
最近「カップリング表記研究家」を名乗り始めました。


15分と言いながら20分以上やってました。てへぺろ。

事前のTwitterを見ていたら、参加者は男性が多そうだったので
「カップリング表記とは」的な確認を最初に入れてみました。

1.カップリング表記って?


辞書っぽく書くとこうですが、実際に見てみたほうが
ピンと来るかなと↓


『進撃の巨人』のカップリング表記です。
当日の反応を見ても、黒バスより進撃の方が通りがよい感じ。

↓構造を見てみると

「攻キャラ」「記号」「受キャラ」が基本構成です。
ここでは一番メジャーな「×」を書いていますが
この記号部分に「+」とか「❤」とか「&」とかが入ったりします。

他にもいろんなパターンが↓

「記号」を省略して「攻キャラ」と「受キャラ」の名前を繋いだ『連結表記』です。
pixivのタグもほとんどこのパターンですね。
日常生活では、話し言葉にしても、フリック・キーボード入力にしても
記号をあえて書いたりしないのでは?と思います。
(「×」を使うときは、強調したい時)


「攻キャラ」が省略されている『受表記』。
当日はFree!の『松岡凛』として紹介しましたが、Fate/stay nightの『遠坂凛』とか
モバマスの『渋谷凛』も同じ「凛受」ですね。


タイバニから。
「攻キャラ」も「記号」も「受キャラ」も書いてないけど
どの二人のことかが分かる『固有表記』です。
実際には例示した「バディ」よりも「兎虎」「虎兎」もしくは「リバディ」の方が
圧倒的に多く使われています。
その辺りに左右(攻め受け)を意識する文化が表れているのかなと思います。

今回のデータ研究会では「百合ネットワーク」の発表もあって、
左右の可換性(交換法則を満たすか)についても触れられていました。
時代による変化もあると思いますが、どこかで改めて考察したいですね。

当日会場で頂いたコメント↓

高緑も緑高も好き、緑高緑、女体化でもなんでも良いので
「チャリアカー」は便利ですね。

イグザクトリー!
固有表記は大抵、複数のカップリング表記を包含した表記になっています。
例えば戦国BASARAの「瀬戸内」(長曾我部元親と毛利元就の固有表記)も、
「チカナリ」と「毛長」のどちらにも使える便利な表現ですね。
このあたりもまた改めて。


です。
この4つ押さえてればほぼ掴めます。
ニコ生のコメントで「残りの一割は?」という話がありましたが
『×表記』の記号部分が「❤」になってたり「+」になってたり「→」とかもありますね。
あと数は少ないですが「攻」も。

会場コメント↓

*(アスタリスク)は×と同じとして扱っていらっしゃるのでしょうか?

鋭いご質問です。
別で扱っています。
先ほどの4大表記の次に多いのが「*表記」です。(2013年実績で2%弱の使用率)
Excelなど表計算ソフトの影響が大きいのかなと考えています。

2.こんな調査をしています


・この文字列はカップリング表記か?
・何の作品か?
の2つを判断してペコペコ手打ちしてます。
作品名に関しては概ねGoogle日本語入力さんがデフォで対応してくれてます。
マイナー作品とかは辞書登録。


まだこれしか調査できてないという現実。
2000年代がすっぽり抜けてます。


すごい時間かかるけど、OCR(光学文字認識)では難しいという話。
なんとたまたま会場にOCRの会社の方がいらっしゃってました↓

OCRの会社にいますが、イラストと文字の判別は確かに無理です。
白文字の時点で無理です。
120万サークルガンバレ!楽しみにまってます!

図らずとも裏付けが取れてしまいました。
応援ありがとうございます!

なので人の目は優秀ですねということで、その手法を↓

『俺CR』(俺文字認識)と呼んでいます。
目grepとかの仲間ですね。

↓一方で


なかなかブログで書けないデリケートな話を。


ここでは具体例をいくつか。
J事務所さんとかスポーツ関係とか。
「仲間にだけ伝わるように」という明確な指針があるので
全ジャンルを横断して研究するのが難しい部分です。


とはいえ、無視できない量があります。


なので、ソーシャルな手法も含めて解読作業を進めています。

3-1.データで見るカップリング表記の今(2013年)



サークルカットにカップリング表記を書くサークルは全体で約4割弱ですが
女性に人気の作品だと9割近いです。⇒以前の記事参照
サークル数の多い『東方Project』『艦隊これくしょん』の表記率が低いので
全体で見ると均されてきますね。
2013年のまとめ記事はこの後書く予定です。


2サークルありました。
プロ野球とゲーム(恋愛)です。


連結表記が圧倒的ですね。
この3表記でほぼ9割。固有表記を含めると9割を超えます。


全体で1800作品ある中、黒バスだけで1割。圧倒的です。
2位のタイバニに2.5倍の差があります。
ヘタリアはかなりサークル数が減ってきている印象ですが
表記数としてはまだまだ多いですね。


圧倒的な黒バス無双の中、2013年のトップ表記はタイバニの「兎虎」!


それが大きいと思います。
以前の記事で調べた時も、表記に登場するキャラが
タイバニ25人に対して黒バス47人と倍近い差があります。
単純な組み合わせで考えると2乗ですから、4倍近い差になります。

タイバニは作品としてもこの2人にスポットを当てた構成になっているので
表記が多くなるのは必然かなと思います。
とはいいつつ、それを踏まえてもバディ愛への熱量はものすごいものを感じます。

3-2.データで見るカップリング表記の歴史(1980年代~)


今度は歴史の話。

コミケカタログの誕生した1982年から『連結表記』は存在しました。
実に32年前です。
リンかけの「スコヘル」(ドイツチームのスコルピオン×ヘルガ)を例に挙げてます。
名前の頭2文字だけを持ってくる所とか、今と全然変わりませんね。

攻受も29年前からありました。
会場コメント↓

まさか私が生まれる前に「受と攻」という表現は
すでに存在したなんて・・・

20代以下の方にとっては「受先輩」「攻先輩」ですね。

カップリング表記といえばの『×表記』も27年前に登場。
時代を反映してか、聖闘士星矢とキャプテン翼で使われていました。
別の記事でも書きましたが、キャプテン翼での使用頻度は低く
『×表記』の発展は聖闘士星矢・サムライトルーパーが担っていきます。


ぎっちょん。

80年代に流行ってた表記は『×』でも『攻』でも『受』でも『連結』でもなく
『❤・&』でした。


ターニングポイントは1991年夏。
ここで『×表記』が『❤表記』を抜き去りトップに躍り出ます。

しかし2013年は『連結表記』の圧勝。ということは↓

調査結果はComingいつか!

4.余談



今回は時間がなくキャラ別にまで踏み込めなかったので
機会を改めてどこかでお話出来ればと思います。
あとは海外のスラッシュの話ですね。


みたいな話とか。



作品別で黒バスがトップだったことを踏まえて
ジャンプっぽく終了!
おつかれさまでしたー。

↓質疑応答の間、見せてたスライド

さっき黒バス10%ですごい!って言ってたら
キャプ翼47%って・・・!

当日ご参加の皆様、ニコ生を見てくださった方々も
ご清聴・コメントありがとうございました!

関連リンク

告知 → 第四回 ニコニコ学会β データ研究会 with 創造的生活者COI-T(3月8日)
まとめ → 第4回 ニコニコ学会β データ研究会 まとめ #ニコニコ学会 - Togetterまとめ
ニコ生 → http://live.nicovideo.jp/watch/lv171793289
     ※1:50頃に出てます。放送から1週間くらいで消えるっぽい