ニコニコ学会βデータ研究会でカップリング表記の発表をしてきました
先日こちら→第四回ニコニコ学会βデータ研究会(3月8日)
で↓こんな発表をやらせて頂きました。
資料はSlideShareとかにupして終了かなと思っていましたが
内容的に補足がないとさっぱりな気がするので、こちらで。
ニコ生・Twitter・当日頂いたコメント用紙の質問にも
回答しながら振り返ってみようと思います。
※発表当日は実際のサークルカットを映していましたが、ここでは隠しています
(学術目的の引用範囲だと思いますが、念のため)
オープニングセレモニー
テンプレ通り、自己紹介を。
最近「カップリング表記研究家」を名乗り始めました。
事前のTwitterを見ていたら、参加者は男性が多そうだったので
「カップリング表記とは」的な確認を最初に入れてみました。
1.カップリング表記って?
辞書っぽく書くとこうですが、実際に見てみたほうが
ピンと来るかなと↓
『進撃の巨人』のカップリング表記です。
当日の反応を見ても、黒バスより進撃の方が通りがよい感じ。
↓構造を見てみると
「攻キャラ」「記号」「受キャラ」が基本構成です。
ここでは一番メジャーな「×」を書いていますが
この記号部分に「+」とか「❤」とか「&」とかが入ったりします。
他にもいろんなパターンが↓
「記号」を省略して「攻キャラ」と「受キャラ」の名前を繋いだ『連結表記』です。
pixivのタグもほとんどこのパターンですね。
日常生活では、話し言葉にしても、フリック・キーボード入力にしても
記号をあえて書いたりしないのでは?と思います。
(「×」を使うときは、強調したい時)
「攻キャラ」が省略されている『受表記』。
当日はFree!の『松岡凛』として紹介しましたが、Fate/stay nightの『遠坂凛』とか
モバマスの『渋谷凛』も同じ「凛受」ですね。
タイバニから。
「攻キャラ」も「記号」も「受キャラ」も書いてないけど
どの二人のことかが分かる『固有表記』です。
実際には例示した「バディ」よりも「兎虎」「虎兎」もしくは「リバディ」の方が
圧倒的に多く使われています。
その辺りに左右(攻め受け)を意識する文化が表れているのかなと思います。
今回のデータ研究会では「百合ネットワーク」の発表もあって、
左右の可換性(交換法則を満たすか)についても触れられていました。
時代による変化もあると思いますが、どこかで改めて考察したいですね。
当日会場で頂いたコメント↓
高緑も緑高も好き、緑高緑、女体化でもなんでも良いので
「チャリアカー」は便利ですね。
イグザクトリー!
固有表記は大抵、複数のカップリング表記を包含した表記になっています。
例えば戦国BASARAの「瀬戸内」(長曾我部元親と毛利元就の固有表記)も、
「チカナリ」と「毛長」のどちらにも使える便利な表現ですね。
このあたりもまた改めて。
です。
この4つ押さえてればほぼ掴めます。
ニコ生のコメントで「残りの一割は?」という話がありましたが
『×表記』の記号部分が「❤」になってたり「+」になってたり「→」とかもありますね。
あと数は少ないですが「攻」も。
会場コメント↓
*(アスタリスク)は×と同じとして扱っていらっしゃるのでしょうか?
鋭いご質問です。
別で扱っています。
先ほどの4大表記の次に多いのが「*表記」です。(2013年実績で2%弱の使用率)
Excelなど表計算ソフトの影響が大きいのかなと考えています。
2.こんな調査をしています
・この文字列はカップリング表記か?
・何の作品か?
の2つを判断してペコペコ手打ちしてます。
作品名に関しては概ねGoogle日本語入力さんがデフォで対応してくれてます。
マイナー作品とかは辞書登録。
まだこれしか調査できてないという現実。
2000年代がすっぽり抜けてます。
すごい時間かかるけど、OCR(光学文字認識)では難しいという話。
なんとたまたま会場にOCRの会社の方がいらっしゃってました↓
OCRの会社にいますが、イラストと文字の判別は確かに無理です。
白文字の時点で無理です。
120万サークルガンバレ!楽しみにまってます!
図らずとも裏付けが取れてしまいました。
応援ありがとうございます!
なので人の目は優秀ですねということで、その手法を↓
『俺CR』(俺文字認識)と呼んでいます。
目grepとかの仲間ですね。
ここでは具体例をいくつか。
J事務所さんとかスポーツ関係とか。
「仲間にだけ伝わるように」という明確な指針があるので
全ジャンルを横断して研究するのが難しい部分です。
3-1.データで見るカップリング表記の今(2013年)
サークルカットにカップリング表記を書くサークルは全体で約4割弱ですが
女性に人気の作品だと9割近いです。⇒以前の記事参照
サークル数の多い『東方Project』『艦隊これくしょん』の表記率が低いので
全体で見ると均されてきますね。
2013年のまとめ記事はこの後書く予定です。
連結表記が圧倒的ですね。
この3表記でほぼ9割。固有表記を含めると9割を超えます。
全体で1800作品ある中、黒バスだけで1割。圧倒的です。
2位のタイバニに2.5倍の差があります。
ヘタリアはかなりサークル数が減ってきている印象ですが
表記数としてはまだまだ多いですね。
圧倒的な黒バス無双の中、2013年のトップ表記はタイバニの「兎虎」!
#ニコニコ学会 タイバニはカップリングパターンが黒バスより少ないからでは
— てんじゃ (@tenja) March 8, 2014
それが大きいと思います。
以前の記事で調べた時も、表記に登場するキャラが
タイバニ25人に対して黒バス47人と倍近い差があります。
単純な組み合わせで考えると2乗ですから、4倍近い差になります。
タイバニは作品としてもこの2人にスポットを当てた構成になっているので
表記が多くなるのは必然かなと思います。
とはいいつつ、それを踏まえてもバディ愛への熱量はものすごいものを感じます。
3-2.データで見るカップリング表記の歴史(1980年代~)
今度は歴史の話。
コミケカタログの誕生した1982年から『連結表記』は存在しました。
実に32年前です。
リンかけの「スコヘル」(ドイツチームのスコルピオン×ヘルガ)を例に挙げてます。
名前の頭2文字だけを持ってくる所とか、今と全然変わりませんね。
攻受も29年前からありました。
会場コメント↓
まさか私が生まれる前に「受と攻」という表現は
すでに存在したなんて・・・
20代以下の方にとっては「受先輩」「攻先輩」ですね。
カップリング表記といえばの『×表記』も27年前に登場。
時代を反映してか、聖闘士星矢とキャプテン翼で使われていました。
別の記事でも書きましたが、キャプテン翼での使用頻度は低く
『×表記』の発展は聖闘士星矢・サムライトルーパーが担っていきます。
ぎっちょん。
80年代に流行ってた表記は『×』でも『攻』でも『受』でも『連結』でもなく
『❤・&』でした。
ターニングポイントは1991年夏。
ここで『×表記』が『❤表記』を抜き去りトップに躍り出ます。
4.余談
今回は時間がなくキャラ別にまで踏み込めなかったので
機会を改めてどこかでお話出来ればと思います。
あとは海外のスラッシュの話ですね。
日本のカップリング表記は「×」(乗算)、海外は「/」(除算)なのに、日本は非可換、海外は可換という。数学と逆ですね。
— タルト (@Tarte41) March 11, 2014
みたいな話とか。
作品別で黒バスがトップだったことを踏まえて
ジャンプっぽく終了!
おつかれさまでしたー。
↓質疑応答の間、見せてたスライド
さっき黒バス10%ですごい!って言ってたら
キャプ翼47%って・・・!
当日ご参加の皆様、ニコ生を見てくださった方々も
ご清聴・コメントありがとうございました!
関連リンク
告知 → 第四回 ニコニコ学会β データ研究会 with 創造的生活者COI-T(3月8日)
まとめ → 第4回 ニコニコ学会β データ研究会 まとめ #ニコニコ学会 - Togetterまとめ
ニコ生 → http://live.nicovideo.jp/watch/lv171793289
※1:50頃に出てます。放送から1週間くらいで消えるっぽい