【C86】評論系の本をざっくりレビュー
夏コミで買ったり頂いたりした本(評論)を一部ご紹介します。
3日目はほとんど自スペースにいたので数は少なめです。
評論系は(良い意味で)アクセル踏み抜いた本が多くて楽しいですね。
R Maniax Advance/後藤和智事務所OffLine
無料統計分析ソフトの大御所「R」の解説書です。
サブタイトルに「さらに使いこなす本」と書かれている通り、こちらは応用編です。
基本を読まずに読んでみましたが、最初に「R」のセットアップの仕方が
掲載されていたり、全般に説明が丁寧なので助かりました。
カップリング表記研究でも、よりグラフィカルな見せ方を導入したいと
思っていたので、この本を参考に試してみたいと思います。
それと個人的には、テキストマイニングソフトの「KH Coder」の解説が
載ってたのが嬉しいですね。
◆作者の後藤和智さん◆
以下、主要新刊を。C86新刊、『R Maniax Advance』。フリーソフト「R」の発展的解説書。実験計画法やパス解析、テキストマイニングなどを扱っています。表紙はサークル「エラー404」のくっく氏です。 http://t.co/8a44VjVPQc
— 後藤和智@コミティアV21a/文フリ委託 (@kazugoto) 2014, 8月 16
コミケ、pixiv、ニコニコ動画/paradoxical Library
どこまでが主題なのか分からなかったので、正式なタイトルは写真でご確認下さい。
この夏コミで「最も勉強になった本」です。
前半はコミケ・pixiv・ニコ動のそれぞれで活躍する「クリエイター」に注目して
その性別や年齢作品発表数などのデータが掲載、解説されています。
コミケは各世代満遍なく、ニコ動やpixivは若い世代が中心であることが
データにしっかりと表れていました。
後半は、軸を「作品」に切り替えて各コミュニティごとの比較が。
薄々思ってはいましたが、タイバニは黒バスや進撃と比較して
一つ上の世代の人気が高かったです。
自分はコミケしか調査していないので、この本でpixivやニコ動などを横断した
データが見れて色々と新しい発見がありました。
今後、何度も見返す本になると思います。
◆作者のありらいおんさんブログ◆
ジャンルコード別サークル数一覧(C80~C86)と夏コミ告知
同人誌即売会見聞録2014~艦これオンリー特集~/STRIKE HOLE
イベントレポだけの本と思いきや、艦これオンリー業界の構成が
地域別に示されていたり、詳細なイベント情報が掲載されていたりと
客観的なデータも盛りだくさんの素晴らしい内容でした。
そもそもこんなにイベンターって多いんですね。
もちろんメインのイベントレポも充実。
というか、艦これの聖地「呉」(広島)での「砲雷撃戦!よーい!」はもちろん
北海道の「夕張メイン軽巡オンリー」にまで参加してるとか…。
開催に至る背景、参加者の傾向なども踏まえた素晴らしいレポでした。
◆サークル「STRIKE HOLE」さんのブログ◆
STRIKE HOLE : 【常時TOP】STRIKE HOLEサークル参加情報
電源不要同人クロニクル/thenextgamers
最も研究方法が自分と近いex_hmmtさんの本。
コミケカタログの電源不要ジャンル(TRPG・ボードゲームなど)を調査されています。
クトゥルフTRPGの時代キてますね!
最近ちょこちょこボドゲ界隈でも話を聞いてたのですが
本当に時代が来てるとは。
それと珍しい調査として、落選サークルについての傾向分析があるのが
面白かったです。
◆作者のex_hmmtさん◆
「電源不要同人クロニクル」の内容はこんな感じ。 http://t.co/skBVlRX5lL コミックマーケットにおけるジャンル「ゲーム(電源不要)」について、コミケカタログからその配置や申込傾向などを調査・分析し、それによって動向を追う本となっております。
— ex_hmmt (@ex_hmmt) 2014, 8月 20
東方コミュニティ白書/久幸繙文
同人とは思えない商業誌レベルの本でした。
これで1,300円は安いです。
東方の世界にはほとんど触れてこなかった人生なので
東方Projectの基礎知識からコミュニティの変化、
キャラクター人気投票の分析などなど、助かる情報ばかりでした。
今までは東方のカップリングを見ててもピンと来ませんでしたが
この本を片手に改めて見直してみたいと思います。
それと、イベントの配置図をキャラ別で色分けしてたのが素晴らしいです。
カップリング表記でもメインカップリングで色分けすると
楽しそうな気がします。(逆カプが離れて配置されてる様子が分かる?)
◆この本の特設ページ◆
C86 久幸繙文新刊『東方コミュニティ白書 2014』特設ページ
第3期藤本由香里ゼミナール卒業研究集2014/藤の素
大学の卒業研究をまとめたという異色の本。
まだ全部は読みきれていませんが、「コミック百合姫」
「アニメ次回予告」「日米刑事ドラマ比較」などなど
興味深い研究が盛り沢山でした。
全体的に客観データを重視するゼミらしく
知らない世界の話でも理解しやすかったです。
学生の研究だと、基本的に卒論を書いたら終了だと思いますが、
ここから発展する研究にも期待したいところです。
◆藤本由香里さん◆
いよいよ今週末、夏コミですが、今年はあの大雪の卒論発表会の卒論集を販売いたします。吹雪の中、聞きに来て下さった方、ありがとうございました。内容は、「百合姫」・アニメ次回予告・コナン・怪盗アニメ・刑事ドラマ・ポケモン・ロック・明智光秀…
http://t.co/MBJDlKzb7A
— 藤本由香里 『大島弓子にあこがれて』発 (@honeyhoney13) 2014, 8月 13
まとめ
ざっくりな紹介でしたが、自分の研究と繋がる部分も多く
どれもインタレスティングでエキサイティングな素晴らしい本でした。
評論系に共通するのは「愛」ですね。
どの本からも対象への深い愛がビシバシと伝わってきて、
自分のモチベーションがぐんぐん上がっていくのを感じました。
いい刺激をもらったので、頑張ります。