【コミケカタログで90年代のカップリングを調べてみた】第三回:1991年は×の時代!
コミケカタログのサークルカットからカップリング表記を抜き出して
分析してみたかんじの記事、第三回目です。
今回は1991年を見ていきます。
1991年のコミケ
この年も夏(C40)と冬(C41)の2回開催されました。
ファンシーな表紙ですね〜。
開催場所と参加人数
回数 | 年 | 季節 | 会場 | 日数 | サークル | 参加人数 |
---|---|---|---|---|---|---|
C38 | 1990 | 夏 | 幕張メッセ | 2 | 13,000 | 230,000 |
C39 | 冬 | 幕張メッセ | 2 | 13,000 | 250,000 | |
C40 | 1991 | 夏 | 東京国際見本市会場(晴海) | 2 | 11,000 | 200,000 |
C41 | 冬 | 東京国際見本市会場(晴海) | 2 | 14,000 | 200,000 |
C40も引き続き幕張の予定でしたが、急遽会場が晴海に変更になっています。
↓詳しくはこちらに
コミケ幕張メッセ追放事件 - Wikipedia
会場変更は本当に急だったらしく、サークルカットには
「幕張メッセ初参加です!」的な記述もありました。
会場変更に伴って日程も変更になっています。(8月10・11→16・17)
土日開催から金土開催になり、この日程変更の影響か
C40はサークル数・一般参加数も共に減少しています。
一方で、その後のC41では南館2FとB館も追加して、サークル参加数が増加しています。
1991年だけ行われた『南館体制』
晴海会場は、↓のように7つに建物が分かれていました。
基本的には建物ごとにジャンルが分かれていたわけですが
A館は特別で、混雑緩和対応として
ジャンルに関係なく人気サークルが配置されました。(A館体制)
特にC40とC41だけは、南館も人気サークルの配置場所として使われました。
1991年 | 1992年 | 1993年 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
C40 | C41 | C42 | C43 | C44 | C45 | |
A館体制 | 実施 | 実施 | 実施 | 実施 | 実施 | − |
南館体制 | 実施 | 実施 | − | − | − | − |
南館のサークルを見てみると、『高河ゆん』『尾崎南』『萩原一至』(敬称略)など
超スペシャル豪華メンバーになっています。
CLAMPさんのサークル参加はC39までで、ちょうどこの回から出ていません。
目次
91−1:カップリング表記数の推移
91−2:記法別ランキング
91−3:作品別ランキング
91−4:どの作品でどの表記?(クロス集計)
91−5:カップリングランキング
91−6:攻め受けマトリックス
91−7:【余談】カップリング表記以外で気になったこと
91−8:1991年まとめ
こんなかんじでいつも通りまとめていきます。
気になるコーナーだけ読んで頂ければ。
91−1:カップリング表記数の推移
C40のカップリング表記数は大きく減少。
しかし次のC41では前年を越えて大きく増加しています。
91−2:記法別ランキング
比較のために前回(C39)も載せて一覧にしました↓
順位 | C39 1990年冬 |
表記数 | 構成比 | C40 1991年夏 |
表記数 | 構成比 | C41 1991年冬 |
表記数 | 構成比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❤ | 482 | 28% | × | 378 | 26% | × | 563 | 28% |
2 | × | 349 | 21% | ❤ | 362 | 25% | ❤ | 462 | 23% |
3 | 連結 | 281 | 17% | 連結 | 285 | 20% | 連結 | 384 | 19% |
4 | ・ | 226 | 13% | ・ | 178 | 12% | ・ | 211 | 11% |
5 | & | 108 | 6% | & | 59 | 4% | & | 111 | 6% |
6 | 固有 | 79 | 5% | 受 | 47 | 3% | 固有 | 101 | 5% |
7 | 受 | 67 | 4% | 固有 | 47 | 3% | 受 | 63 | 3% |
8 | と | 63 | 4% | と | 43 | 3% | と | 60 | 3% |
9 | . | 8 | 0% | 攻 | 8 | 1% | ★ | 6 | 0% |
10 | and | 6 | 0% | . | 4 | 0% | . | 5 | 0% |
1987年に登場した「×」表記ですが、
1991年のこの年、ついにトップ表記に踊り出ました。
さきほどの表記サークル率と合わせて考えれば
「コミケカタログの1ページに1つは「×」表記がある」計算ですね。
たった4年で恐ろしい普及率です。
それ以下の順位はあまり変わりませんが
C41で「攻」表記がランク外に落ちています。
サークル配置が受基準で行われているためか、現在でも「攻」表記は少ないですね。
1991年の初出表記
細かいところでは「:」(コロン)や「;」(セミコロン)、「✿」(花マーク)などが
ありましたが、突発的に1、2サークルで使われているだけでした。
大きな動きはありません。
91−3:作品別ランキング
続いて恒例の作品別ランキングです。
順位 | C39 '90冬 |
表記数 | 構成比 | C40 '91夏 |
表記数 | 構成比 | C41 '91冬 |
表記数 | 構成比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | トルーパー | 773 | 45% | トルーパー | 765 | 53% | トルーパー | 1000 | 50% |
2 | キャプテン翼 | 340 | 20% | キャプテン翼 | 250 | 17% | キャプテン翼 | 265 | 13% |
3 | 聖闘士星矢 | 194 | 11% | 聖闘士星矢 | 144 | 10% | 聖闘士星矢 | 164 | 8% |
4 | 光GENJI | 119 | 7% | シュラト | 77 | 5% | 光GENJI | 139 | 7% |
5 | シュラト | 97 | 6% | 光GENJI | 44 | 3% | シュラト | 83 | 4% |
6 | 銀英伝 | 44 | 3% | 銀英伝 | 22 | 2% | 銀英伝 | 37 | 2% |
7 | 味っ子 | 17 | 1% | プロ野球 | 18 | 1% | MADARA | 28 | 1% |
8 | プロ野球 | 8 | 0% | 味っ子 | 11 | 1% | ドラゴンボール | 27 | 1% |
9 | 魔界水滸伝 | 8 | 0% | SMAP | 8 | 1% | 味っ子 | 19 | 1% |
10 | グランゾート | 8 | 0% | MADARA | 7 | 0% | プロ野球 | 17 | 1% |
ドラゴンボール | 7 | 0% | グランゾート | 17 | 1% | ||||
メタルジャック | 17 | 1% |
1990年に入ってトップに立った『サムライトルーパー』が91年も独走!
しかも91年に入って50%を超えてきました。
この時代はコミケ全体のカップリングの半分以上が
サムライトルーパーという1作品に集中してるわけです。(あくまで表記ベースですが)
2013年の夏コミ(C84)だと、トップジャンルの黒バスですら10%未満です。
この数字は驚異的ですね。
上位はいままで通り御三家がどっしり。
その下を見ていくと三次元からは『SMAP』が登場しています。
先輩光GENJIの勢いには全然届いていませんが、今後が楽しみです。
C40で登場した『魍魎戦記MADARA』にも注目です。
近年その名前を聞くことはありませんが、この次の1992年には
独立ジャンルコードを取得する人気作品です。(ジャンル「沈艦・マダラ」)
独立ジャンルコードという意味では、このC40から
「ワタル・グランゾート」ジャンルが登場しています。
カップリング表記としては、グランゾートが多いですね。
「大地×ラビ」が人気です。
また、ジャンプ作品からは『ドラゴンボール』が登場。
アニメの『ドラゴンボールZ』が大ヒット(平均視聴率20%以上)で
サイヤ人が暴れまわってるところです。CHA-LA HEAD-CHA-LAですね。
カップリングはかなり分散していて、「ピッコロ&悟飯」「ラディッツ×ベジータ」
それにノーマルカップリングの「悟空&チチ」が人気です。
91−4:どの作品でどの表記?(クロス集計)
またまた誰得マニアックコーナー。
今回はあっさり目です。
C40 [1991年夏] | × | ❤ | 連結 | ・ | 固有 | & | 受 | と | 攻 | ★ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鎧伝サムライトルーパー | 264 | 188 | 170 | 68 | 1 | 19 | 20 | 19 | 4 | |
キャプテン翼 | 23 | 42 | 85 | 66 | 6 | 11 | 12 | 2 | 2 | |
聖闘士星矢 | 42 | 59 | 4 | 21 | 8 | 1 | 4 | 1 | 2 | |
天空戦記シュラト | 20 | 25 | 15 | 6 | 2 | 5 | 2 | 1 | ||
光GENJI | 1 | 7 | 5 | 1 | 25 | 1 | 1 | 2 |
C41 [1991年冬] | × | ❤ | 連結 | ・ | 固有 | & | 受 | と | 攻 | ★ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鎧伝サムライトルーパー | 355 | 226 | 230 | 101 | 29 | 23 | 17 | 1 | 4 | |
キャプテン翼 | 16 | 50 | 104 | 55 | 5 | 8 | 15 | 6 | 1 | 1 |
聖闘士星矢 | 42 | 65 | 3 | 23 | 19 | 4 | 5 | 1 | 1 | |
天空戦記シュラト | 24 | 31 | 18 | 2 | 1 | 3 | 2 | |||
光GENJI | 20 | 20 | 15 | 5 | 69 | 4 | 2 | 3 |
やはり「×は鎧モノ」の法則が働いています。
変わったのは、「トルーパーがハートより×を多く使うようになった」ことです。
その影響で、今回表記ランキングで「×」がトップに立ったわけですね。
91−5:カップリングランキング
キャラで言ってくれたほうが分かりやすいと
一部で評判のカップリングランキングです!
1991年夏
順位 | C40 [1991年夏] | 表記 | 表記数 | 作品 |
---|---|---|---|---|
1 | 征当 | 連結 | 53 | 鎧伝サムライトルーパー |
2 | 当×征 | × | 49 | 鎧伝サムライトルーパー |
3 | 征×当 | × | 41 | 鎧伝サムライトルーパー |
4 | 伸×遼 | × | 38 | 鎧伝サムライトルーパー |
5 | 健小次 | 連結 | 37 | キャプテン翼 |
6 | 当征 | 連結 | 31 | 鎧伝サムライトルーパー |
7 | 健・小次 | ・ | 21 | キャプテン翼 |
8 | 当×伸 | × | 20 | 鎧伝サムライトルーパー |
9 | 伸遼 | 連結 | 19 | 鎧伝サムライトルーパー |
10 | 小次・健 | ・ | 16 | キャプテン翼 |
それにしても×表記がほんと増えましたねー。
その中でトップが連結表記というのも面白いです。
1991年冬
順位 | C41 [1991年冬] | 表記 | 表記数 | 作品 |
---|---|---|---|---|
1 | 征当 | 連結 | 69 | 鎧伝サムライトルーパー |
2 | 征×当 | × | 54 | 鎧伝サムライトルーパー |
3 | 伸×遼 | × | 48 | 鎧伝サムライトルーパー |
4 | 当×征 | × | 46 | 鎧伝サムライトルーパー |
5 | 健小次 | 連結 | 42 | キャプテン翼 |
6 | 当征 | 連結 | 35 | 鎧伝サムライトルーパー |
7 | A2 | 固有 | 31 | 光GENJI |
8 | 伸遼 | 連結 | 28 | 鎧伝サムライトルーパー |
9 | 当×遼 | × | 25 | 鎧伝サムライトルーパー |
光 | 固有 | 25 | 光GENJI | |
当×伸 | × | 25 | 鎧伝サムライトルーパー |
そして固有表記の雄、光GENJIのカチコミが!
光GENJIはサークル数がそれほど多いわけではないんですが
「光」「A2」に人気が集中していますね。
91−6:攻め受けマトリックス
今回は中止です!
調査はしてみたんですが、1990年と傾向がほとんど変わりませんでした。
新しい作品が上位に食い込んできたらまた。
今後注目される作品としては
C40に『SLAMDUNK』が書かれているサークルカットがありました。(カップリング表記なし)
ジャンプでの連載開始は前年の1990年42号からでした。
少し遅れて連載が開始された『幽遊白書』(51号から)はまだサークルカットに出てきません。
アニメでは、1991年3月から始まった『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』が
早速夏のC40からサークルカットに登場。
続くC41では、「ブーツホルツ×シューマッハ」などのカップリング表記が見られます。
小説では、「御手洗&石岡」のカップリングがC41から登場しています。
これからが楽しみです。
91−7:【余談】カップリング表記以外で気になったこと
くさりはじめ?
『腐女子』という言葉が普及するのはもっとずっと先の話だと思いますが
「ぼんのーずは腐りきっている」と腐宣言がされています。
今と同じ意味合いで使っているかは分かりませんが
わりと近いイメージじゃないかと思います。
ファンも予感していた?打ち切り作品
先程も話題にあげた『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』のサークルです。
「番組終わってたらどうしよう」と心配しています。
番組は同年の3月から始まって1年間やる予定だったそうですが
実際にこのC41(12月29・30日)の直前の12月20日に終了しています。
これも『鎧伝サムライトルーパー』と同じパターンで
メインターゲットとした子供に人気がなく、低視聴率&玩具売上不振のコンボでの
打ち切りだったようです。
ただ、両作品とも中高生以上(特に女性)に人気があったために
その後路線を変更してOVAの展開が始まっています。
そしてコミケでも大人気の作品達でした。
91−8:1991年まとめ
それでは、1991年のまとめです。
・カップリング表記数はC40で参加サークル数の減少とともに減少
・C41では大幅上昇
・「×」が普及。最多カップリング表記に!
・サムライトルーパーがカップリングの半分以上!
・やっぱり「征当」派!
90年・91年は『サムライトルーパー』の年でした。
そこに飛び込んできた『魍魎戦記MADARA』や『サイバーフォーミュラ』はその牙城を崩せるのか?
そして『ドラゴンボール』を始め、『SLAMDUNK』や『幽遊白書』など
ジャンプ勢の動きも気になります。
次回は引き続き1992年を見ていきます。
ではでは!